ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3225)

 人権ビジネスとしての差別問題

 人はなぜ、差別をするのだろうか。そしてまた、差別に反対するのだろうか。

 差別の特徴は、特定の属性(性別、人種、民族、国籍等)を持つ人間をラベリングし、そのラベルを元に当人の評価を決める点にある。その評価は大抵、減点対象となる。要するに「属性によるネガティヴな人物評価」こそ、差別の本質と言える。

 個人を見ずに集団をラベリングした方が、世の中が理解しやすい面はある。例えば、「男は仕事、女は家事育児」などは厳密には偏見だが、確かにそういう傾向はある。

 但し、このような偏見を元に、特定の女性社員の評価を低くしたりしたら、それは差別であり、大問題となる。

 さて、これまで僕がずっと違和感をもってきたテーマのひとつに、部落差別と同和教育がある。

 中学高校の頃、唐突に同和教育が行われた。なぜ、この現代において、何百年も前の身分差別の話を持ち出すのか。僕は全く理解できなかったし、実は今も理解できていない。

 但し、大人になって、ひとつわかったことがある。それは、差別の問題は「カネになる」ということだ。

 人権を盾にとり、反差別を掲げて運動をすれば、誰も表立っては反対できない。

 少なくとも、同和問題には巨額の税金が投入されてきた。唐突に行われた同和教育は、「人権ビジネスの一環だった」と今は思っている。

 極端な話、同和問題とは、部落差別をネタに「人権ビジネス」を展開している者たちに、巨額の税金が投入されている問題なのだ。

 「人権ビジネス」で飯を食っている者たちは、実は差別がなくなると困る。反差別の商材を作って売りながら、内心では差別が続くことを望んでいる。

 時々、「今でも部落差別に苦しんでいる人がいる」と言う人がいる。

 ふと思い出したが、私も被差別県の埼玉出身だ。

 これまで私は、埼玉県民であるが故に、数々の不当な差別を受けてきた。埼玉県民であるが故に、受験で不合格となり、就職では不採用とされ、女性からは交際を断られた。

 これは埼玉県民差別を放置してきた国家の責任であり、国家は埼玉県民に対し、誠意ある補償をしなければならない!

 被差別部落出身であることに苦しむのと、埼玉県民であることに苦しむのに、何か本質的な違いはあるのか。違いはない。 差別する側の方が品性下劣なのも共通している。

 私見では、差別の問題は、システム的に解決したら、「それで良し」とした方が良いと思う。

 例えば、就職に際しての男女差別は、「男女雇用機会均等法の施行と運用をもって解決した」と見做した方が良い。「女性の社会進出を快く思わない人がいる」みたいな"個人の感情"に踏み込むと、切りがない。

 埼玉県民差別(=部落差別)の問題にしても、「埼玉県民の参政権は認めない」とか「埼玉県民お断り」といった制度的な差別が撤廃された時点で、「問題は解決した」と見做した方が良い。

 その意味では、部落差別の問題は、既に解決した。同和教育ももはや不要だ。

 個人的に抱く偏見にまで踏み込むと、いつまで経っても問題は解決しない。

 そして、「いつまで経っても問題は解決しない」からこそ、人権ビジネスを営む連中の懐が潤い続けるのだ。

 山田宏哉記

【関連記事】
"ホームレス転落"という悪夢 (2012.11.24)
映画『シルク・ドゥ・ソレイユ』に学ぶ人材配置 (2012.11.18)
シュートを打つ人、パスに逃げる人 (2012.11.17)
若さゆえの飢餓感 (2012.11.17)
動物王国としての実社会 (2012.11.11)
人生を語る不誠実さ (2012.11.11)
映画『009 RE:CYBORG』覚書(2012.11.4)
なぜ、経歴を詐称するのか(2012.11.3)
愛は地球を救えない(2012.10.24)
労働貧困層と生活保護(2012.10.22)
ルサンチマンのある人生(2012.10.18)
世界は"不本意な職業"で溢れている(2012.10.15)
不本意な職業を受け入れる(2012.10.13)
僕たちは「格差社会」を望んだ(2012.9.24)
「人間好き」のファシズム (2012.9.17)
強者はデモに参加するか(2012.9.15)
撤退戦としての介護(2012.9.1)
「仲間外れ」の構造(2012.6.26)
反知性主義の国・日本(2012.6.24)
日本人の7割には、中学の教科書レベルの知識もない
(2012.6.23)
読書を実務に活かす暗黙のプロセス (2012.6.23)
教職に逃げる大人たち (2012.6.21)
あの人が嫌われる理由 (2012.6.4)
最近の若者はバカばかり(2012.5.26)
「カネのため働く」という建前(2011.12.25)



2012.11.24 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ