ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3233)

 衆愚政治を支える私たち

 少子高齢化の日本では、TVを見ながら「あぅあぅあぅ」と寝言を垂れる高齢者の発言権が強まる一方だ。

 若手は彼らを「老害」と切り捨てがちだが、やはり長幼の序の精神を重んじ、彼らを尊重することが大切だろう。デモクラシーにおいて、数は力だ。数の多い高齢者を軽んじることはデモクラシー(衆愚政治)の精神に反する。

 そしてこれは、私たち自身が望んだことであり、誇りに思っていることなのだ。

 社会に出る前は、デモクラシー(民主政体)が、割と素晴らしいものだと思っていた。万人が1人1票の選挙権を持ち、自分が支持する政策を掲げる候補者に投票する。そうすれば多数決で、より良い世の中が実現する。どこかで、そんな幻想を持っていた。

 僕が実社会で働き始めて新鮮に感じたのは「ビジネスの現場では多数決で物事を決めない」ということだった。決定権を持った責任者が、最後は一人で決める。

 そしてこの方が、組織全体にとっても良い決断になる。

 ビジネスの現場で大切なのは、愚かな人間に決定権を与えないことだ。見識に欠ける人間は、組織の意志決定に参加する資格がありません。愚かな人間が権限を乱用すると、それこそ、組織が潰れてしまう。

 「日本の政治はロクでもない」という声をよく聞く。そのような政党、政治家を選んだのは、他ならぬ私たち自身だ。仮に日本の政治家がバカで無能だとしたら、同様に日本国民もバカで無能なのだ。

 私見では、日本人の7割には、中学の教科書レベルの知識もない。本を読む習慣もなく、寝転がってテレビを見ているだけだ。

 日本の有権者は、いわば金魚だ。金魚のように口をパクパクさせて、誰かが餌をくれるのを待っている。

 この国では、金魚に向かって餌をまく候補者が、議員に当選する。金魚の知能レベルでは、政策の中身を検討することはできない。自分に餌をバラ撒いてくれそうな政党、政治家に投票する。

 これは、僕たち自身が選んだ道だ。僕たちはこの仕組みを、デモクラシーと呼んで、誇りに思っている。

更に言うと、この国の金魚の関心事は「もっと餌をよこせ」だけだ。自分が餌にありつけさえすれば、金魚鉢が割れても、関心を持たない。

 ビジネスの現場でも、「口先だけの人間」が増えたと感じる。綺麗事を並べ、やると約束したことをやらず、言い訳だけは立派に並べる。平気で公約を違える政治家たちの姿は、実は、私たち自身の姿でもある。

 そしていまだに、「自分以外の誰か」がこの国を悪くして、「自分以外の誰か」がこの国を救ってくれると思っている。

 敢えて言うが、このような国民の当事者意識の欠如こそが、日本の衰退を招いたのだ。

 山田宏哉記

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2012.12.15 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ