ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3245)

 読書の費用を回収できるか   

 キンドルストアの電子書籍を活用する上で、最大のネックになるのは、実は「結構お金がかかる」という点だと思う。紙の新刊本で買うよりは安いが、ブックオフで中古で買うよりは高い。

 これは読書観の根本に関わるテーマだが、「読書への投資は回収できるか」という問題がある。

 日常生活で話をしていると、本は「図書館で借りる」または「ブックオフで買う」という人が多い。

 かく言う僕も、図書館とブックオフのヘビーユーザーだ。新刊で買う本は厳しく選ぶが、ブックオフで¥100で売っている本だと、割とホイホイと買ってしまう。

 ただ、仮にリターンが投資を上回るのであれば、「本を買う際、あまりケチケチするべきではない」という判断になる。

 一般に、「本は安い」と言われるが、おそらくこれはその通りだ。本に書いてある情報を他の手段で得ようと考えたら、その数倍から数十倍の費用がかかる。

 僕の場合、読書をしていなければ、今のポジションと収入を手にすることはできなかった。従って、読書への投資はリターンの方が大幅に上回っている。

 もっとも、図書館やブックオフを利用した場合、読書に投資した費用はほぼ確実に回収できる。問題は、「読む本を全て新刊本で購入した場合、費用を回収できるか」だ。

 仮にここ10年で読んだ本を4,000冊、定価を平均で¥1,000とすると、全て新刊本で買っていた場合、約400万円の費用がかかっている。

 ここ10年分の読書にかかった費用が400万円だとしたら、その費用を回収できたか。僕の場合、答えはイエスだ。

 僕の読書量は少し多いが、新刊本を年間50冊購入するとして、1冊あたりの費用を平均¥1,000とすると、読書にかかる費用は年間約5万円。

 読書によって、本業のパフォーマンスと収入が向上することを考慮すれば充分、「投資を回収できる」のではないだろうか。

 「読む価値がある本を選ぶ」ことが前提だが、読書の費用は、中長期的に見れば、回収できる可能性が高い。

 少なくとも僕は、あまりケチケチせずに、電子書籍を買うことにした。

 読書家の中にも、新刊で本を買うのを躊躇し、「図書館の予約待ち」「ブックオフ待ち」「文庫化待ち」する人が結構いる以上、時間を優先し、「躊躇なく新刊を買う」という習慣そのものが、実は競争優位を生むと考えている。

 山田宏哉記

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