ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3252)

 株式投資の「究極の目標」とは何か   

 このところ、円安株高の傾向が続いたこともあり、株式投資が注目された。

 ところで通常、何を目的に株式投資をするだろうか。株式投資の目的は「株価が安いときに買い、高くなったら売り、その利鞘を取ること」だと思っていないだろうか。

 間違っているとは言えない。僕もこのように株の売買をすることはある。

 但し、その分、同じことを考えている人が多く、これは「ゼロサムゲーム」になりがちだ。つまり、誰かが得をすれば、誰かが損をする。

 このようなゲームで、中長期的に勝ち続けることは難しい。株価が下がる局面では「店仕舞い」をすることになる。

 今更だが、僕は株式投資の究極の目標は、「配当だけで生活すること」だと思っている。次善の目標は、「配当で生活を支援すること」だ。

 売却益は一過性のもので、一度使ったら、それで終わりだ。

 一方、配当は株式を保有している限り、安定的に得ることができる。企業が成長すれば、株価が上がり、配当も増える。

 僕は現在、伊藤忠商事の株を700株(約70万円分)持っている。1株当たりの配当金が¥40なので、配当金の収入は年間2万8000円になる。毎月換算すると2,300円。

 一見、たいした金額ではない。但し、これが継続的に続くのは非常に大きい。

 働いているうちは、ありがたみがわかりにくいが、仮に僕が失業したり、年金で生活するようになっても、この配当は支払われる。

 極端な話、配当だけで生活できるようになれば、「働けなくなったら、生活が破綻する」というリスクを回避できるのだ。

 定期預金と比較すると、配当の魅力がよくわかる。

 仮に100万円を東京三菱UFJの定期預金(10年)に預けると、金利は0.1%なので、10年後には101万45円。

 一方、配当利回り4%の株式に100万円投資すると、株価と配当の変動がないとしても、10年で40万円の配当を得られる。株価と配当額そのものが上がれば、収益は更に増える。

 ところで、都内在住の一人暮らしだと、生活保護でだいたい年収165万円が支給されるようだ。生活保護レベルの「配当生活」をするために必要な資金は、配当利回り4%とすると、4125万円。

 現役のビジネスパーソンでも、案外、「働かずに食べていける生活保護」に憧れていたりする。但し、約4000万円の資金があれば、理論的には、東京都内で生活保護レベルの「配当生活」を送ることができる。

 配当に狙いを定めると、配当額が同じなら、むしろ株価は下がるほどありがたい。安い値段で買い増すことができるからだ。

 これからの日本企業では、定年の延長などにより、昇給額は抑えられると予想される。昇給そのものが廃止されるかもしれない。年金も、大した金額はもらえないだろう。

 だからこそ、配当が効いてくる。

 毎年50万円ずつを配当利回り4%の株式に投資すると、年間2万円ずつ配当が増える。つまり、年収が2万円ずつ引き上げられる。

 月給の昇給額が毎年1000円程度の人にとっては、「毎年、年収が2万円ずつ増える」という話は魅力的だろう。しかもこれは、働いていても、働いていなくても、変わらない。

 投資する企業さえ間違えなければ、配当利回りの高い優良企業の株を買うのは、かなり良い選択だと僕は思う。

 山田宏哉記

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2013.1.23 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ