ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3264)

 僕が津田大介氏に嫉妬する理由       

 津田大介氏が2013年のYoung Global Leadersに選ばれた。この出来事をキッカケに、色々と思うところがあった。

 津田氏は僕の出身大学の先輩にあたる。マイナーな学部なので、先輩の活躍は喜ばしいことだ。

 但し、その一方、僕は津田大介氏に嫉妬している。

 表面的に言えば、「自分とそれほど知識や能力に差があるとは思えない方(失礼!)が脚光を浴びて、何だか損した気分になる」ということだ。こういう気持ちは、当然ある。

 ただ、僕の嫉妬はもう少し別のところにある。

 僕は、津田大介氏が、シニカルさを排して、「自分の信じる正義を為す」という姿勢を持っていることに、正直、嫉妬している。

 しかも、「津田大介の真似をしてみろ」と言われても不可能だ。

 細かい具体例を出すと、普通の人が金髪にしたら、それだけで「危ない奴」と思われて、人間関係を上手く構築できないと思う。軋轢を生まずに、金髪で押し通すのは、少なくとも僕にはできない。

 今回の受賞の話は別にしても、僕は、津田大介氏が評価されてしかるべき人物だと考えている。たとえ、著書の中身がスカスカだとしても。

 シニカルさを排して、正義感を持つのは難しい。行動を起こすのは、更に難しい。

 正義感は、得てしてシニカルな社会批判に向かってしまう。

 また、言動から判断する限り、津田氏には「悪意」がない。悪意が渦巻くウェブ界隈で、悪意を持たずに活動するのは、実は凄いことだ。

 人は、普通に生きているだけでも、様々な「悪意」に取り込まれていく。

 他人の不幸をエンターテイメントとして消費したり、外国人の排斥を唱えてみたり、生活保護の受給者を叩いてみたりする。そしていつしか、自分が悪意にまみれて生きていることにすら、無自覚になってしまう。

 津田大介氏は、誰かに似ていると思っていたが、ふと「攻殻機動隊」のトグサだと気付いた。トグサ=津田先輩が人気キャラなのは、おそらく「(能力はイマイチでも)正義感だけは強い」という点にあると思う。

 こういう生き方の姿勢に比べれば、知識や教養なんて、実はどうでもいいと思う。

 津田氏は、当事者として、自分の為すべきことをしている。当たり前のようだが、口先だけの人間が多い世の中では、ただそれだけで、評価に値する。

 仮に、津田氏に対して、ビジネス上の評価をするとしたら、僕なら最高の評価をつける。

 大変失礼ながら、知識や能力の面では、それほど彼我の差があるとは思っていない。

 だが、津田氏には、シニカルさを排した正義感がある。僕にはそれがない。

 これこそ、僕が津田大介氏に嫉妬している決定的な理由だ。

 山田宏哉記

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2013.3.13 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ