ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3266)

 人は"ポジション取り"の上手さを"運"と呼ぶ        

 実生活で「能力がそれほど高くないのに、有名になったり、活躍したりする人」の話をする機会があった。具体的な人名は挙げないが、誰しも思い当たる節はあると思う。

 以前、ある方が「実力のない奴が世に出て、脚光を浴びると、気が狂いそうになる」という趣旨の発言をしていた。

 背景には「自分は実力があるのに、不遇だ」という気持ちがあったのだと思う。事実、僕が見る限りでは、その通りだったと思う。

 一見、能力の低い人が脚光を浴びると、多くの人は嫉妬する。そして、「単に運が良かっただけ」と評して、片付けてしまう。

 僕は、これは少し違うと考えている。

 サッカーを例に取ると、僕たちは、練習熱心でボールを扱う技術が高い人を「能力がある」「実力がある」と評する傾向がある。

 但し、そういう人が試合本番で活躍できるかと言うと、必ずしもそうではない。

 むしろ、実際のサッカーの試合で活躍できるのは、「たまたま自分のところにボールが来て、シュートしたら入っちゃいました」みたいなタイプだと僕は思う。

 しかし、ライバルたちは「あいつは運が良かっただけ」と評し、相変わらず、ボールを扱う技術の習得に専念する。

 サッカーでは、いくらボールを扱う技術が高くても、自分のところにボールが回ってこなければ、活躍のしようがない。

 ボールを仕事に置き換えると、これはそのまま実社会にも当てはまる。

 「正しい時期に、正しい場所にいる」ことで、利益を得られることが多い。多くの人は、このようなポジション取りを「運」と呼ぶ。

 私見では、これは「運」などではなく、最重要と言っても良い能力だ。

 営業や集客など、仕事を獲得するための努力をしない企業が、「うちの会社は実力が高いのに、お客は何もわかっていない。軽薄な宣伝をする会社ばかりが業績を伸ばして、けしからん」などと言っていたら、誰でもその間抜けさに気付く。

 個人レベルでも、実は同じことが言える。

 活躍する人は多くの場合、チャンスが飛んでくる場所に、ポジションを取っている。

 「ボール(仕事)を扱う技術が高ければ、自分のところにチャンスが回ってくる」と考えるのは、甘い。

 予め、ボールが飛んでくる場所に位置取っておかなければ、チャンスは回ってこない。

 ボールが回ってくる場所でポジションを取っている人は、嗅覚が鋭く、能力そのものが高いのだ。それを「運が良かっただけ」などと評するのは、根本的な勘違いだと僕は思う。

 山田宏哉記

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2013.3.20 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ