ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3268)

 「やればできる」の仕事論       

 私事になるが、実社会で働き始めて、約5年が過ぎた。

 その中で感じることのひとつは、組織的な仕事は「やればできる」ということだ。苦手だと思っていることでも、実際に取り組むと、自ずとできてしまうことが多い。

 学生の頃、僕は電話対応や会議の運営などが、苦手だと思っていた。

 しかし、単に経験を積んだだけで、自然とできるようになった。

 わざわざ、得意、不得意を云々するような話ではない。単に経験が不足していたから、苦手だと思い込んでいただけだった。

 ビジネスのスキルは、実際に経験しないと身に付かない。

 いくら「電話対応の方法」や「会議の進め方」といったマニュアルを事前に読んで予習しても、実際に経験しなければ、身に付かない。

 経験する前から、得意/不得意と決め付けるのは、とても損だと思う。

 電話対応であれ、会議の進行であれ、はじめから上手くできる人はいない。苦手だと思っていても、やれば案外できるものだ。

 仕事を覚え始めた頃は、何をするにもマニュアルを参照しなければならず、どんな質問にも即答できる人に対して「凄いなぁ」と感じたりする。

 こういうことも、単に経験と慣れの問題だ。

 場数を踏むだけで、割と誰にでもできると思う。逆に、いくら頭が良くても、経験がないとできない。

 組織で働く上で、「能力の差」だと思われていることの多くは、単に「経験の差」であることが多い。

 より質と量の高い経験を積むことができた人ほど、優秀なビジネスパーソンであるのは間違いない。

 個人的には、学生が経営や財務などの実学を勉強するのは「効率が悪い」と考えている。働いたことも、投資をしたこともない人が勉強しても、おそらく「畳の上の水練」にしかならない。

 実際に社会で働いたり、株式投資をしたりすれば、数ヶ月で身に付くような知識を、学生時代に何年もかけて勉強するのは、バカバカしいとしか言いようがない。

 社会に出る前は、変にビジネスの真似事を勉強するより、歴史や人間の勉強をした方が、長期的に役に立つと思う。

 正直なところ、学生が教室で座学の勉強をするのは、コストパフォーマンスが悪すぎる。学生時代は、何かの活動に全力でコミットした方が、得られるものが多いと思う。

 理科系はともかく、文科系の場合、大学の勉強で得た知識は、企業で働く上では、大半が役に立たない。

 仕事の現場で必要になるのは、「商品の説明ができる」とか「電話対応ができる」といったことで、どちらかと言うと、学校の勉強というより、日常生活の延長線上にある。

 わざわざ書籍を読んで、日常生活の送り方を勉強する人はいない。にもかかわらず、大半の人が、特に不自由なく、日常生活を送っている。大抵のことは、「やればできる」ものだ。

 仕事と言うとつい身構えがちだが、余計な心配をするには及ばない。頭の良さを気にする必要もない。なぜなら、日常生活と同じように、大抵のことは「やればできる」からだ。

 山田宏哉記

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2013.3.23 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ