ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3273)

 株式投資のリスクを抑える方法      

 NHKで「証券会社に口座開設の問い合わせが相次いでいる」という報道があった。

 「鴨(かも)が葱(ねぎ)を背負って…」にも見えるが、よく考えると、事はそれほど単純ではない。

 ここ4ヶ月で、約2割の円安(¥80→¥96)が進行した。これは日本人の金融資産が、2割毀損したということでもある。4ヶ月前の1万円は125ドルの価値があったが、今の1万円は104ドルの価値しかない。

 当然ながら、輸入品の価格は上がるし、海外旅行の費用も高くつくようになる。

 更に、今後はインフレと増税の到来が予想されている。「金融資産を現金(日本円)で持っていれば安心」という時代ではなくなりつつある。

 僕自身は、主としてリーマンショックの後に株式投資を始めた。初めて利益確定した2010年以来、年単位で見ると、毎年、損益はプラスになっている。

 個人的には株式投資で美味しい思いをさせてもらったし、(一時的に休むことはあっても)これからも続けるつもりだ。

 他人に株式投資を勧めるつもりはないが、資産運用方法のひとつとして、検討する価値はあると思う。

 「株は危ない」とよく言われる。こういう側面があることは確かだが、一方で、リスクを抑える方法もある。

 資産を短期間で一気に倍増させようとすれば、確かに株式投資は危ない。これでは負ける確率の方が高いだろう。

 一方で、あまり欲を出さず「定期預金の金利以上の利益があればいい」くらいの気持ちで望めば、リスクを抑え、高い確率で勝てると思う。

 株式投資のリスクを抑えるためには、いくつか押さえておきたいポイントがある。折角なので、そのポイントを紹介しておこう。

1. 株価が上下するメカニズムを理解する

 今更だが、株価が上がる理由は2つしかない。株価が下がる理由は、ちょうどこの逆になる。

(1)投資した企業がより多くの利益を出し、株主により多くの利益が配当で還元される。

(2)株式市場に新たな資金が流入し、需要(買い)が供給(売り)を上回る。

 従って、基本的には「配当が増え続ける企業」の株を買えば、間違いがない。配当が増え続ければ、自然と株価は上がる。

 配当が増えているのに、需給の関係で株価が下がっているようなら、配当利回りが上がり、買い増しのチャンスになる。

2. 業績好調な高配当株を割安局面で買う

 リスクを抑えるのであれば、業績が堅調で、将来性があり、高配当(配当利回り3-4%)の企業の株を、相場が暴落した後に、現物で買うことが重要だ。そして、中長期に渡って保有する。

 これなら投資した企業が倒産したりしない限り、かなりの高確率で、定期預金の金利以上の収益が出るはずだ。

 ちなみに、財務諸表を読みこなせることは、大前提になる。財務を理解せずに株式投資をするのは、竹槍で戦場に行くようなものだと理解した方が良い。

 ビジネスパーソンであれば、財務の学習は本業でも活きるので、一石二鳥だ。

3. 購入時期を分散する

 株の購入時期は分散した方が良いと思う。

 特定のタイミングでドカンと買うのではなく(これは死亡フラグ)、割安局面で少しずつ買い増す。株価急騰で割高になったら、一部を利益確定し、割安局面で買い戻すようにする。

 尚、株を分散して購入するためには、売買の手数料が安いことが重要になる。

4. 売買手数料の安いネット証券を利用する

 資産運用として考えるなら、基本的にネット証券を選ぶのが定石だ。売買の手数料が対面の証券会社と数倍-数十倍違う。

 対面の証券会社は「高齢者の孤独を癒す」という機能が売買の手数料に上乗せされているので、非常に不利だ。

 目安として言うと、一度の売買手数料が¥1,000以上する証券会社を利用している人は、他に移った方が良いと思う。

 相場が荒いときなど、こまめに数千円単位の利益確定をした方が良いときもあるが、これでは利益が手数料で吹き飛んでしまう。

 売買の手数料が高いと、一度にドカンと売買しないと、手数料が原因で損失が出てしまう。しかも、「一度にドカン」は、資産運用上のリスクが高い。

5.証券会社が提供する情報は「ゴミ同然」と考える。

 証券会社は、売買の手数料で儲けるのが生業なので、暴騰局面でも暴落局面でも買いを推奨する。

 究極のポジショントークであり、まともに付き合っていたら、資産の大半を溶かしてしまう。

 従って、証券会社が提供する情報は、「ゴミ同然」と考えた方が良い。大切なのは、あくまで自分の頭で考えることだ。

 僕自身、基本的に上記のような方法を採用しているし、実際、これで定期預金の金利(どころか特には本業の収入)を上回る収益が出ている。

 他人に勧めるつもりは全くないが、少なくともこれなら、株式投資でさほど大きくは負けないと思う。

 山田宏哉記

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