ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3277)

 仕事に"専門的な知識と能力"は必要か   

  「これからの時代、ビジネスパーソンは専門性を高めなければ生き残れない」という趣旨の趣旨の発言に接することが多々ある。

 関連して「他の会社でも通用する人材になることが大切。そのためには専門性を高めることが必須。社内事情に強くなっても仕方がない」という趣旨の発言もよく聞く。

 殊更、この手の発言が間違っているとは思わない。僕自身、そう感じることもあるくらいだ。

 但し、正直に告白すると、僕自身はコアとなる専門的な知識や能力を何も持っていない。

 多少、読み書きソロバンが得意なだけだ。必要なことは、その都度、学習する。実のところ、これだけで飯を食っている。

 いつも「専門的な知識や能力を持たなければならない」と思ってきたが、結局、これといった専門的な知識や能力を持たないまま、ここまで来てしまった。

 原理原則としては、「"何でも屋"になってはダメだ」とは思ってきたが、結局、典型的な何でも屋になってしまった。

 無理やり専門性のある領域を挙げても、せいぜい文書作成と編集くらいしかない。

 これは僕にとって、長らく劣等感になっていた。社会人6年目にしてこれでは、もはや人材としての価値はほとんどない。

 もっとも、不思議と実績と成果は出していると思う。

 但し、それらは専門的な知見や能力に基づいた成果ではない。読み書きソロバンができれば、誰にでもできる類のことだ。

 劣等感を持ちつつ、疑問に思うのだが、そもそも仕事をするのに"専門的な知識や能力"は必要なのだろうか。

 大事なのは、あくまで成果や実績を出すことであり、専門性の有無は、実はどうでもいいのではないか。

 「成果を出すこと」は不確実性が高いが、「専門知識を身につけること」であれば、努力や勤勉で何とかなる可能性が高い。

 ビジネスで専門性がもてはやされる根本的な理由は、単に努力や勤勉との相関関係が高く、日本人好みの美意識に合致するからではないか。

 本当は、ビジネスパーソンは、読み書きソロバンに強く、学習能力が高ければ充分で、実は専門性を高める必要などないのではないか。

 僕も建前では「ビジネスパーソンは専門性を高めなければ生き残れない」という意見に賛成だ。それが政治的にも正しい態度だと思う。

 しかし、自分自身が読み書きソロバンだけで飯を食っている以上、本音ではあまり必要だと感じていない。

 ビジネスパーソンにとって、専門的な知識や能力が役に立つのは、主として「"自分を大きく見せる"ためのアクセサリー」としてだと、僕は思っている。

 山田宏哉記

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2013.4.20 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ