ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3282)

 仕事がなくて暇な会社員

 実生活で、こんな趣旨の話をする機会があった。

「日本企業は繁忙期に合わせて人を雇っていることが多い。だから、閑散期には仕事がなくて、暇になる人が結構いる。暇な人は、1時間でできる仕事を、丸一日かけてやったりして、時間を潰している」

「仕事がなくて暇な人は、『細かい修正作業』をすることで、仕事をしたつもりになる。重箱の隅をつくような不整合を見つけ出し、それを修正することで『仕事をしました』とアピールする」

 仕事がなくて暇にしている会社員は、"社内ニート"と呼ばれたりする。そして、社内ニートであることを隠し続けるのは難しい。

 「あの人、何をやっているのだろう」と感じていた人のことが話題になることがある。そういう場合、大抵、他の人も同じことを感じていて、実際、何も仕事をしていなかったりするものだ。

 単純な話だが、仕事がなければ、自分で仕事を作ればいい。

 例えば、競合や同業他社のウェブサイトと自社のウェブサイトを比較検討して、ライバルの長所をマネするだけでも、結構、いい仕事になったりするものだ。

 あるいは、商品の販売データにアクセスできるなら、よく売れる曜日や時間帯、商品の組み合わせや販促経路を分析して、売上向上策を提案する手もある。

 競合他社のウェブサイトは公開されているものだし、自社の商品の販売データも、内部ではさほど機密度の高い情報ではないだろう。ありふれた素材でも、ちょっとした工夫で売上向上や顧客満足に貢献する仕事に変えることができる。

 この種のことは、何も「上司から指示されたから」やるものでもない。

 それでも、自分以外にやる人がいない分野で実績を残せば、関連する仕事が回ってくるようになるし、社内ニートの汚名も返上できる。

 ところが現実には、社内ニートが自分で仕事を作って、付加価値の高い実績を出すことは滅多にない。

 なぜか。私見では、社内ニートの技術レベルは、仕事をする上での最低ラインにも達していない場合が多いからだ。

 競合のウェブサイトの長所を取り入れたり、商品の販売データを分析しようにも、「HTMLが読めない」とか「エクセルを使いこなせない」といった技術的なボトルネックがあると、当然、仕事にならない。

 社内ニートが致命的なのは、これまでコピー取りや荷物運びのような単純作業しか経験してこなかったために、付加価値の高い仕事をするための見識と技能を身に付けていないことだ。

 ビジネスをする上で「エクセルを使いこなせない」とか、それ自体が論外なのだ。通常、会社はそんな部分まで面倒をみないし、そんな社内ニートに仕事を頼む人もいないだろう。

 では、社内ニートはどうすればいいか。現実的なことを言えば「どうしようもない」というのが結論であり、「座して解雇を待つのみ」となる。

 それが嫌なら、必死で仕事に必要な技能を身に付け、成果を出すしかない。

 山田宏哉記

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2013.6.30 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ