ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3283)

 勤勉という美徳の終わり 

 仕事で成果を出すためには、「勉強ができる、できない」は、あまり関係がない。

 低い評価しか得られないビジネスパーソンが、不真面目で頭が悪いかと言うと、そんなことはない。むしろ、真面目で勤勉なタイプの人の方が多い。

 ただ、彼らがわかっていないのは、実社会で高く評価されるのは「頭空っぽで合コン三昧」のタイプだということだ。

 勤勉なビジネスパーソンは、知識や教養を蓄えているが、大抵、「頭空っぽで合コン三昧」の人より低い評価しか得られない。

 しかも、学校時代に褒められた経験があるため、「アイツに負けたのは、勉強が足りなかったからだ」などと考え、更なる悪循環に陥る。

 読書や勉強が持つ副作用として、「性格がシニカルになる」という点がある。

 僕自身を含めて、読書家や勉強家には、性格が悪い人が多い。武器を手にした人が、それを使いたくなるように、知識を手にした人は、知識をひけらかしたくなる。

 実際、ツイッターでの著名人は「この人、なんでこんなに性格が悪いのだろう」と感じるタイプが多い。彼らは、一生懸命勉強した割に報われないので、知識をひけらかして、他人を見下すようになる(あまり人のことは言えないが)。

 物事を実務的に解決する上で、この種のシニカルさは、大きな障害になる。性格の良さが大切な時代に、真面目に勉強してわざわざ性格を悪くするのは、実に愚かだ。

 日常生活では、読書家や勉強家は、周囲の鼻つまみ者になる可能性が高い。

 勉強で得られる知識の価値が低下しているなら、受験勉強と学歴社会はどう捉えれば良いか。個人的には、受験の本質は「学力による選抜」ではないと思う。

 企業が一流大学の学生を好んで採用するのは、何も「知識や教養があるから」ではない。受験を通して「理不尽へのストレス耐性」と「本番での勝負強さ」を身に付けていると考えられるからだ。また、知識や教養は不要でも、「地頭の良さ」は大切だ。

 企業が採用活動で使う適性試験の問題を見ると、単純な知識問題は殆どない。知能検査のような問題が大半で、「地頭の悪い人」はここで足切りに合う。確かに、「勉強すれば、得点が上がる」類の問題では、地頭の良い人を見抜けない。

 日本企業が新卒採用を重視する理由のひとつは、新卒学生はいわば「白紙」であり、自社にとって都合良く染めることができるからだ。

 言葉は悪いが、新卒学生は「頭空っぽ」の方が洗脳しやすい。変に勉強している人は、社歌を熱唱したり、社是を絶叫することを躊躇してしまう。

「基本性能が高く、余計なソフトがインストールされていない」ほど、人材としては魅力的だ。

 日本では長らく、「勤勉は美徳」とされてきたが、それは建前に過ぎない。

 現実問題として、文系の大学院生の社会的評価は、浮浪者と大差がない。真面目に勉強して行き着く先は、結局のところ、世捨て人なのだ。

 山田宏哉記

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2013.6.30 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ