ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3284)

娯楽としての生活保護叩き - 負け犬オーラで不採用 - 

 先日、クローズアップ現代「働く力を取り戻せ〜“脱”生活保護への挑戦」(2013年6月26日放送)を視聴した。

 特に当たり障りのない内容だったが、ひとつだけ、見過ごすことができない点があった。

 「仕事が見つからない」という生活保護受給者が出演していたのだが、とにかく風貌や言動の「負け犬オーラ」が酷かったのだ。失礼ながら、「これでは面接で通らないな」と感じてしまった。

 番組の制作サイドが、演出として「負け犬っぽい風貌の奴を出演させた方がインパクトがある」と考えた面はあるかもしれない。

 ただ、それを考慮しても、生活保護受給者の「負け犬オーラ」は、職を見つける上で、大きな障害になると感じた。

 自立できず、税金で飯を食わせてもらい、世間の冷たい視線を浴びていれば、卑屈になってしまうのも無理はない。

 「勝ち組オーラ」とか「負け犬オーラ」は、言葉で厳密に定義するものではないが、確かにある。

 乱暴に言うと、「勝ち組オーラ」とは「この人、モテそう」とほぼ同じ意味であり、「犬オーラ」とは「この人、モテなそう」とほぼ同じ意味である。

 ビジネスで評価される人材と恋愛市場で評価される人は、ほぼ一致している。

 そして、普通の企業が「負け犬オーラ」を放つ人を採用することはない。企業が採用活動で面接をするのは、「負け組オーラ」の人をふるい落とすためだと言っても、過言ではない。

 採用面接の時は、自身過剰の一歩手前くらいがちょうどいいと思う。

 生活保護受給者が就職するために最も必要なのは、「負け犬オーラ」を払拭することだ。

 ところが、世間が受給者に「自信を持て」という類の助言をすることはない。むしろ「人間のクズ」と罵倒し続ける。生活保護受給者は「人間失格」の烙印を押されて、自尊心が崩壊している。

 世間は生活保護受給者に「負け犬らしく振舞え」と要求する。負け犬オーラを放つ人は就職できないのに、生活保護受給者は構造的に「負け組意識」を植え付けられている。

 その真意は何か。

 実のところ、世間は生活保護受給者が就職できないことを望んでいるのだと思う。彼らを「就職できない負け犬」として見下し続けることを望んでいるのだ。

 端的に言えば、僕たちは差別を娯楽として消費している。

 生活保護受給者が、その負け犬オーラ故に、面接で落とされることを知りながら、「働けよ、人間のクズ」などと罵倒する。

 そして、薄給激務でも、仕事がある自分の境遇に感謝する。

 「人の不幸は蜜の味」とはよく言ったもので、これぞ、最高のエンターテイメントだ。

 山田宏哉記

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