ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3297)

 収容施設としての学校と本当の教育問題

 学生(生徒)の本分とは何か。常識的には「勉強すること」だと考えられている。

 しかし、本当は違う。学生(生徒)の本分は「学校に通うこと」であり、実は「勉強すること」ではない。

 普通は混同されているが、「学校に通うこと」と「勉強すること」は、全くの別物だ。「学校に通うこと」と「勉強すること」が全く別物なのは、「会社に通うこと」と「仕事をすること」が全く別物なのと同じである。

 学校が果たす社会的機能は、「教育を実施すること」ではない。学校の存在意義は、「情緒不安定な少年少女を、一般社会から隔離すること」にこそある。

 従って、勉強は権利であり、義務ではない。勉強したくない人は、しなくても良い。

 但し、勉強の義務はないが、通学の義務はある。治安を維持するため、情緒不安定な少年少女は、一般社会から隔離する必要があるからだ。

 その証拠に、いくらオンライン学習が普及しても、一向に「学校に行く必要がなくなった」という話にはならない。

 ネットの世界には、優れた教師が自分の授業を録画した教材が溢れている。果たして、生身の学校教師が教室で行なう集団授業は、ネットに溢れる録画教材より、クオリティが高いのか。

 あるいは、単純な知識習得を目的とした理科や社会の分野は、学校の教室という空間で、生身の学校教師から、リアルタイムで教わる必要があるだろうか。僕は「ない」と思う。

 少なくとも、教師の賃金(=税金)に見合った価値はないと思う。オンライン学習でも、充分に代替できるはずだ。

 本気で子どもの学力向上を考えるのであれば、学校の授業を、オンライン学習に置き換えることを検討するべきだろう。

 ところが、一向に、このような議論は出てこない。

 ひたすら、電子黒板や電子教科書のツールの話に終始する。電子黒板や電子教科書は「教師が教室で集団授業を行なう」という大前提を脅かすことのないツールだ。

 「教師が教室で集団授業を行なう」という教育モデルは、教員の雇用の生命線だ。

 学校で集団授業をするのは、主として「教員に賃金を支払う口実」であり、知識の吸収効率そのものはあまり良くない。

 生徒の学力は人それぞれなのに、一律のスピードで進む。学力が高い人も、低い人も、どちらも不満を抱くことになる。しかも、遅れてついていけなくなったら、そこから後の授業はチンプンカンプンになってしまう。

 多少なりとも頭の良い少年少女は、「学校で勉強するより、自習した方が効率が良いのでは?」という議論を持っている。この疑問は正しい。

 自分のペースで学習できるオンライン学習の方が、学習効率が高いはずだ。

 教育関係者は、相も変わらず、"子どもの学力低下"が深刻な教育問題だと言い立てる。

 しかし、本当に深刻な教育問題は、"子どもの学力低下"ではなく、学校教職員の雇用を優先する施策が、子どもの学力向上を妨げていることだ。これこそ、本当の教育問題である。

 山田宏哉記

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2013.9.24  記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ