ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3298)

 毎日は「同じことの繰り返し」なのか

 田中裕輔(著)『なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?』(東洋経済)を読了した。

 本書では、著者が次々と新たなプロジェクトに従事し、その中で濃密な経験を積むことで、経営コンサルタントとしての実力を付けていく様子が描かれている。

 同じプロジェクトに従事できるのは1年まで。それ以上関わると「成長速度が鈍る」というわけだ。

 非常に個人的な感想になるが、僕は憂鬱になってしまった。

 経営コンサルタントと比べると、僕はそれこそ「同じことの繰り返し」で生きている。社会人になってから、ずっとひとつの業種、ひとつの企業で働いている。

 もちろん、自分では、毎日を「同じことの繰り返し」にしているつもりはない。新しい切り口やプロセスの改善レベルのことであれば、いつも考えている。常に新しいテーマを探して、勉強もしている。

 しかし、客観的にみれば「同じことの繰り返しに終始している」と評価されても仕方がない。

 自分では新しいことに挑戦しているつもりでも、客観的にみれば、マイナーチェンジに留まっている。

 例えば、質問には即答し、依頼事は"瞬殺"(即座に解決)できるようにもなった。傍目には「それなりに仕事ができる」ように見えるかもしれない。でも、僕自身は満足していない。

 「何が不満なのか」と問われれば、「自分の能力を使い切れていない」ことが不満だ。

 既に知っていることを、より上手に回せるようにする。それは大切なことだと思うが、あまり大きな負荷がかからず、能力を使い切れない。

 本気で悩んだり、葛藤することがない。そのため、成長も限定的になってしまう。

 働き始めたころは、何もかもが新鮮だった。しかし、数年も働くと、良くも悪くも、色々なことに慣れてくる。

 最近、「自分の限界」に挑戦できていない。「大変だ」「難しい」と言われていることでも、本音では「簡単だ」と感じてしまう。

 気付けばいつのまにか、「自分にはできる」と予測できることばかりやっている。サボっているわけではないので、他人からはわからない。でも、自分ではよくわかっている。

 毎日は「同じことの繰り返し」ではない。当たり前のことなのに、敢えて自分に言い聞かせないと、毎日が惰性で流れてしまう。

 率直に言えば、僕は、自分を限界まで追い込むようなハードワークをどこかで「羨ましい」と感じている。

 きっとそこには「生きている実感」や「限界を超える達成感」みたいなものがあって、人生に彩を添えるのだと思う。

 山田宏哉記

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2013.9.24  記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ