ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3311)

 誰が「面倒な雑用」をするべきか  

 かつての日本企業では、職場に新人が配属されると、まずは「誰にでもできる仕事」を任された。それは大抵、「雑用」と呼ばれるものだった。

 新人は周辺的な業務から順に仕事を覚え、いずれは中核的な仕事をすることが期待されていた。

 ただ、今は必ずしも「雑用は新人の仕事」ではないと思う。技術面の理由と人材面での理由がある。

 例えば、以前はコピー取りは典型的な"雑用"だった。

 今は、コピー機には色々な機能が付いて、随分と便利になった。スピードも速くなった。高性能の複合機なら、パンチ穴やホッチキスも自動で設定できたりする。しかも、人間の手作業より、正確だ。

 要するに、コピー取りなどは、他の人に任せる必要そのものがなくなった。

 人材面では、様々な雇用形態の人が、企業で働くようになった。アウトソーシングも盛んになっている。面倒な雑用は、外注したり、アルバイトの人に任せるという選択肢もある。

 但し、それでも「面倒な雑用」は残るし、「誰が面倒な雑用をするか」という問題はある。

 さて、ここで検討したいのは「面倒な雑用は他の人に任せて、自分はクリエイティブな仕事に集中したい」という考え方だ。

 個人的には「雑用は他の人に任せて、自分は付加価値の高い仕事に集中する」という考え方は好きではないが、検討の価値はあるに違いない。

 この時、判断材料にすべきは希望する本人の成果と能力、及び周囲からの評価だと思う。これが充分なら認めるべきだし、不充分なら認めるべきではない。

 仕事ができる人が、面倒な雑用を他の人に丸投げすることによって、組織全体のパフォーマンスが上がるなら、それは個人的なわがままではない。

 一方、仕事ができない人が、面倒な雑用を他の人に丸投げしたら、単に仕事をサボっているだけで、それは個人的なわがままである。

 特に「頭の良い俺様に雑用をさせるとは何事だ。もっとクリエイティブな仕事をやらせてほしい」みたいな言動を取る人は、評価が低くなって当然だとは思う。僕だって、こんな人とは一緒に仕事をしたくない。

 学生時代のアルバイトを含めると、僕はもう10年以上、「面倒な雑用」をやっている。

 その上で思うのは、実務能力や現場での強さを鍛えるのは、「クリエイティブな企画やアイディア」ではなく、むしろ「面倒な雑用」だということだ。

 先輩面をして、自分で手を動かさなくなった人は、基本的に"落ち目"である。

 「面倒な雑用」こそ、能力研鑽のチャンスであり、原則、自分でするものだと僕は思う。

 ただ、雑用の価値に気付いている人や、「やらせて欲しい」と希望する人がいたら、当人の能力向上のために、譲るのが良いと僕は思う。

 山田宏哉記

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2013.12.30 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ