ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3317)

 多様性の尊重と動物の本能   

 ハリウッド映画の登場人物を見ると、人種や性別、年齢層などのバランスが良くなるように、非常に気を使っているのがわかる。

 特定の人種や男(女)だけを作品に登場させるのは、政治的に望ましいことではなくなった。

 ビジネスの現場でも、多様性あるいはダイバーシティの確保ということが、重要な課題として認識されるようになってきた。

 企業が、グローバル展開したり、ブレイクスルーとなるアイデアを生み出すには、多様な価値感が欠かせないというわけだ。

 当然だが、「差別はいけない」とか「多様性が大切」という価値感そのものは正しい。世界を公平で住みやすい場所にするためには、不公平な慣習や不合理な偏見は、捨てなくてはならない。

 「但し」と僕は思う。

 多様な人々や多様な価値感を尊重するのは、「動物の本能」には根付いていない。

 現実には、人間は「自分と似た属性の人」に親近感を覚える(「類は友を呼ぶ」という言葉もある)。そして、「自分とは異質な人」を本能的に排除しようとする。

 似た者同士でグループや派閥を形成するのは、ごくありふれたことだ。誰しも、身に覚えがあるだろう。

 何かで読んだが、アメリカの学校でも、放っておくと、子供たちは人種ごとにグループを形成するようだ。そのため教師が意図的に「シャッフル」する必要がある。

 自分とは異なる属性の人々を尊重するのは、動物の本能には反するので、口で言うよりずっと難しい。

 僕たちは何かある度、隣のグループや隣の国、異性や異なる人種をひとくくりにして、悪口を言いたがる。

 いずれにせよ、多様性を尊重したり、そのことで成果を出したりするのは、よほど意識しないとできない。隣国を罵倒する下層階級の若者たちを見るにつけ、僕はそんなこと思う。

 山田宏哉記

【関連記事】
誰が"面倒な雑用"をするべきか(2013.12.30)
タクシーに未来はあるか -業界復活の切り札-(2013.12.21)
TV電話が普及しない本当の理由(2013.12.7)
就職活動の勝敗は10歳の頃に決まっている(2013.10.25)
『ちびまる子ちゃん』で学ぶ「教室内カースト」(2013.10.20)
なぜ、日本人の7割には中学レベルの知識もないのか(2013.9.22)
勤労の美徳と資本主義の強欲 (2013.9.21)
ウェブへの上場と不特定多数による評価 (2013.9.16)
仕掛けと手仕舞いの仕事論 (2013.8.31)
"この世にいらない人間"と動物的本能の暴走 (2013.8.20)
人間的魅力の効用と限界 (2013.7.28)
勤勉という美徳の終わり(2013.6.30)
仕事がなくて暇な会社員(2013.6.30)
勉強で得られる知識は、価値が低い(2013.6.22)
仕事が好きな人、嫌いな人(2013.6.1)
仕事に"専門的な知識と能力"は必要か(2013.4.27)
ビジネスでは、あまり努力しない方が良い理由(2013.4.20)
誰が「腐った人材」を養うのか(2013.4.13)
「パンを分け合う仲間」としての会社(2013.3.30)
なぜ、あの人は「本を読むバカ」なのか(2013.3.26)
「やればできる」の仕事論(2013.3.23)
なぜ、ユニクロの離職率は高いのか(2013.3.16)
若者よ、貯金は止めた方が良い(2013.3.12)
英語公用語化の真意(2013.3.9)
薄給の時代 、副業の損得勘定(2013.3.2)
株で勝つのが難しい理由 (2013.3.2)
残業を良しとする"村の論理" (2013.2.24)
お金を稼ぐ力、組織を泳ぐ力(2013.2.16)
「みんな」という名の不審人物(2013.2.9)
リスクヘッジとしての株式投資(2013.2.2)
勤労の国の幸福なサラリーマンたち (2013.1.27)
公務員の"駆け込み退職"騒動の本質(2013.1.26)
株式投資の「究極の目標」とは何か(2013.1.23)
シャープ株の売買で気付いたこと(2013.1.17)
"試練の場"としての株式投資(2013.1.14)
中村淳彦(著)『職業としてのAV女優』覚書(2013.1.4)
読書の費用を回収できるか(2013.1.4)
いかに「読むべき本」を確保するか(2013.1.4)
"紙本主義"の終わりとアマゾンのキンドル生態圏(2013.1.1)
信仰告白のビジネスモデル (2012.12.29)
iPhoneの防水ケースと家電量販店の終わり(2012.12.26)
なぜ、デートでサイゼリヤに行ってはいけないのか?
(2012.12.22)
ペニーオークション詐欺の教訓(2012.12.22)
汗で稼いだ一万円、投資で稼いだ一万円(2012.12.19)
実務に活かす株式投資(2012.12.15)
アウトソーシング時代の働き方(2012.12.8)
「飽きないこと」を仕事にする(2012.12.2)
ビジネスに活かす優先的選択(2012.11.27)
もしも世界が男女10人ずつの高校の教室だったら
(2012.11.25)
"ホームレス転落"という悪夢 (2012.11.24)
映画『シルク・ドゥ・ソレイユ』に学ぶ人材配置 (2012.11.18)
シュートを打つ人、パスに逃げる人 (2012.11.17)
若さゆえの飢餓感 (2012.11.17)
動物王国としての実社会 (2012.11.11)
人生を語る不誠実さ (2012.11.11)
映画『009 RE:CYBORG』覚書(2012.11.4)
なぜ、経歴を詐称するのか(2012.11.3)
愛は地球を救えない(2012.10.24)
労働貧困層と生活保護(2012.10.22)
ルサンチマンのある人生(2012.10.18)
世界は"不本意な職業"で溢れている(2012.10.15)
不本意な職業を受け入れる(2012.10.13)
僕たちは「格差社会」を望んだ(2012.9.24)
「人間好き」のファシズム (2012.9.17)
強者はデモに参加するか(2012.9.15)
撤退戦としての介護(2012.9.1)
「仲間外れ」の構造(2012.6.26)
反知性主義の国・日本(2012.6.24)
日本人の7割には、中学の教科書レベルの知識もない
(2012.6.23)
読書を実務に活かす暗黙のプロセス (2012.6.23)
教職に逃げる大人たち (2012.6.21)
最近の若者はバカばかり(2012.5.26)
「カネのため働く」という建前(2011.12.25)



2014.1.14 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ