ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3319)

 日雇い派遣に学ぶプロジェクトの本質   

 以前、某外資系コンサルティング会社の仕事の仕組みを聞いて、感心したことがある。

 仕事は「プロジェクト単位」で進められ、プロジェクトにアサインされない社員は、会社を辞めざるを得なくなる、というわけだ。

 某外資系コンサルティング会社で言えば、コンサルティング案件の開始から完遂までが、ひとつのプロジェクトと言えるだろう。

 僕には、このような「プロジェクト単位」での働き方が、とても新鮮に見えた。

 ただ、よく考えたら、僕もかつて、「プロジェクト単位」で働いていた時期がある。就職してからではない。就職する前、日雇い派遣で働いていた頃だ。

 今思えば、日雇い派遣にはプロジェクトの本質が凝縮されていた。

 特定の目的を完遂するためにメンバーが集められ、一度切りの仕事が終われば、チームは解散する。日雇い派遣での案件は、仕事もメンバーも「その日限り」のものだった。

 僕にとって、初めてのプロジェクトは、学生時代の日雇い派遣での体験だった。事務所移転の案件が多かった。僕は日雇い派遣の中で、プロジェクトを繰り返していた。

 仕事そのものは過酷で薄給だったが、僕は日雇い派遣のドライな空気が好きだった。

 日雇い派遣が魅力的だった理由のひとつは、顧客の依頼事項を完遂すれば、仕事が早く終わりになることだった。また、仕事を早く終えても、報酬が減ることはなかった。

 事務所移転のような案件では、僕たちは概ね、集中して作業をした。「仕事をしている振り」をしても、意味がなかったからだ。報酬が一定金額で「早く終えたら、早く帰れる」という環境では、仕事のスピードは自ずと上がった。

 (時給ベースの仕事では、逆に「仕事をしている振り」で作業時間を引き延ばした方が、収入が増える。私見では、この構造は、日本企業の生産性を著しく落としている)

 日雇い派遣では、1日の仕事が終われば、チームは解散となる。同じ現場に、同じメンバーで入ることは、二度となかった。

 「一回性」は、プロジェクトの特徴でもある。日雇い派遣の現場は、まさに一期一会だった。

 日雇い派遣の世界では、各現場で良い評価を得られれば、次の案件を回してもらいやすくなっていた。逆に評価が悪いと、案件を紹介されにくくなり、お金に困ることになった。

 よく考えたら、前近代的な日雇い派遣での働き方は、「プロジェクト単位」という意味において、先進的なイメージのある某外資系コンサルティング会社での働き方と、本質的には同じだったのだ。

 山田宏哉記

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2014.1.18 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ