ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3322)

 「上司に相談します」が口癖の担当者  

 素朴な疑問だが、「上司に相談します」が口癖の担当者に、存在価値はあるだろうか。

 顧客の視点で見ると、「上司に相談します」とか「社内で調整します」などと連発する担当者は、実は必要ない。それなら、最初から上司が出てくれば済む。

 顧客の要望は、予め想定して、確認なり、調整を済ませておくことが大切だ。これは担当者の重要な仕事であり、想定できていない時点で、すでに「負け」なのだ。

 飲食店を例に考えてみよう。

 例えば、お客さんと以下のような会話をする店員は、果たして優秀と言えるだろうか。

お客 「床にゴミが落ちてますよ」
店員 「店長と相談します」
お客 「ビールは料理と一緒に持ってきてください」
店員 「店長と相談します」
お客 「お子様ランチは大人も注文できる?」
店員 「店長と相談します」
お客 「個別会計でお願いします」
店員 「店長と相談します」

 客は内心、「なんだ、この無能な店員は!」と怒りを感じることだろう。

 「上司と相談します」を連発する人は、果たして、このような店員と何が違うのか。本質的には、何も違わない。

 飲食店の例でいえば、店長に相談が必要なのは、「態度の悪い客が、他の客に迷惑をかけている」とか「入店をお断りしたい浮浪者が来た」とか、そういうイレギュラーな事象が起きた時だろう。

 通常のオペレーションの範囲であれば、ルールに基づく対応で充分だ。

 なお、私見では、上司とのコミュニケーションは「提案、確認、結果報告」をメインにするべきだと思う。

 日本では「仕事の基本は報・連・相」と言われるが、ホウレンソウは単に語呂がいいだけの言い回しで、相談は、さほど重要ではない。

 語呂で仕事の基本を言うなら、インゲンサイ(威厳・元気・才覚)やチョウセンニンジン(挑戦・人情・仁義)でも別に構わない。ホウレンソウのセットに囚われる必要は全くない。

 現実には、「相談」より「提案」や「確認」の方がはるかに重要だ。

 昔、経験豊富なマネジャーから、「"どうしたらいいですか?"とか聞くな。自分で案を用意して提案しろ」と言われたことがあった。当時の僕は無能君で、腹落ちしなかったが、今思えば、全くその通りだ。

 また、別の方からだが、曖昧な記憶に基づいて話していたら、「"確認します"を口癖にしろ」と指導を受けたことがあった。僕は今でもこの教えを守っていて、この指導にはとても感謝している。

 実務の現場では、単に「念のために確認する」だけで、トラブルの防止や成果につながることも多い。職場で人生相談や恋愛相談をする暇があったら、気になる点や懸念事項を念のために確認した方が、遥かに有益だ。

 いずれにせよ、顧客に対して、「上司に相談します」を連発するようでは、段取りが悪すぎる。「私は無能です」と自ら宣言するようなものだ。

 顧客の視点で見れば、当然ながら、「そんな担当者いらないよ」という話になる。これでは、自力で仕事を確保できず、大きな成果も挙げられなくなってしまう。

 また、私に言わせれば、「上司に相談します」が口癖の担当者は、当事者意識と責任感が、決定的に欠けている。自分の担当領域を何だと思っているのだろうか。

 従って、「上司に相談します」が口癖では、顧客の評価だけでなく、仲間の評価も失ってしまうのだ。

 山田宏哉記

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