ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3330)

 「情報で飯を食う」ための条件  

 改めて考えてみると、僕は現在、主として情報で飯を食っている。

 10年前は、日雇い派遣の作業員だった。厳しい肉体作業で飯を食っていた。それに比べると、今は随分と恵まれた環境になったと思う。

 別に大したことはしていないが、改めて「情報で飯を食う」ために必要な条件を考えてみたい。

 まず、組織の中で、情報を扱うだけで飯を食うのは、かなり難しい。これを自覚することが情報屋として生きる第一歩である。

 基本的には、業績に直結する情報を収集し、独自に分析し、業績改善に直結する施策を提案し、責任者に採用してもらうのが、情報屋が果たすべき役割である。

 「業績に直結する情報」とは具体的に何を指しているか。これは当然、業界や業種、会社によって全く違ってくる。まず、これがわかっていないと情報屋にはなれない。また、「誰かが教えてくれる」と考える人も、やはり情報屋には向かないと思う。

 ひとつ言っておきたいのは、新聞や雑誌の記事から業界動向や他者事例をまとめる程度なら、「情報で飯を食う」レベルには達しないことだ。業界動向や他社事例は何かの参考にはなるかもしれないが、業績に直結する情報ではない。情報として、インパクト不足だ。

 「ふーん」とか「へぇ、そうなんだ」で終わったら、情報屋としての成果はゼロである。情報屋が出す情報は、既存の業務プロセスを変革するものでなければならない。

 業界動向や他社事例は、それはそれで重要なことだ。しかし、業界や他社の話は「今まさに、我々が解決すべき問題」ではない。

 情報屋が、情報収集をする際は、「顧客の声」「現場」「生データ」を自分で確認することが何より大切だ。これらの情報を分析し、既存の業務プロセスや成果物に変革を迫るのが、情報屋の役割だ。

 そして、提案が採用され、結果を伴ってこそ、情報屋の成果となる。

 やはり、情報屋が、仲間から認められるためには、「あの人の分析と提案があったからこそ、状況が劇的に改善した」と思われなければならない。

 「情報面では誰にも負けない」と実感できるようになって初めて、「情報で飯を食う」という道が開けてくる。やはり「知識の総量」は、競争優位につながる。

 だから、結局は、日々の地道な勉強がモノを言う。

 勉強の効果はすぐには出ない。僕自身、年間数百冊の読書をかれこれ15年くらい続けている。一生懸命勉強し始めて5年経った時点では、僕はまだ日雇いの作業員だった。

 それでも、根気よく勉強を続けると、一気に実務でも使える能力が伸びる時期がやってくる。

 実務の壁は分厚い。多少の勉強では、全く役に立たない。案外、徹底的に勉強することで、この「実務の壁」を突破することこそ、情報屋としての第一歩のような気がする。

 山田宏哉記

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2014.2.18 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ