ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3347)

 適任者に選ばれる人、選ばれない人

 最近、「適任者」として指名を受けることが増えた。中には、他の人が羨むであろうオファーも含まれていた。大変ありがたいことだ。

 以前の僕には、適任者としての指名やオファーは皆無で、辺境のゲリラ戦で戦果をあげるしかなかった。だが、当時と今で、僕自身の能力や実力が劇的に変わったか、と言えば、さほど変わってはいないと思う。

 世の中には何かあった時に、「適任者として指名やオファーを受ける人」と「そういう話には無縁の人」がいる。

 両者の違いは何か。能力や実力は重要だが、それだけではないと思う。

 実は、より重要なのは「知名度」だと思う。仕事は基本的に「知名度」がある人に集まる。まずは、「知名度」がなければ、勝負の土俵に上がれない。

 例えば、僕は「コンビニと言えば、セブンイレブン」だと思っている。セブンイレブンとポプラが隣接していれば、迷わずセブンイレブンの方に入る。

 何もプラの商品やサービスを詳しく検討したわけではないが、知名度が低いコンビニは、そもそも比較検討の対象外だ。

 もしかしたら、ポプラの方が、セブンイレブンよりも、良質な商品とサービスを提供しているかもしれない。比較検討していないので、それはわからない。

 だが、知名度のあるセブンイレブンで購入して特に問題がないなら、わざわざポプラを選んだりはしない。実際、セブンイレブンで買えば、「大きくは間違わない」という安心感がある。

 同じことは、人間の適任者選びにも当てはまる。

 組織で働く人にとっては、「知名度」はあまり重要ではないように見えるが、実は組織人にとっても、「内部での知名度」が非常に重要だ。まずは知名度がないと、候補者リストに載ることすらできない。

 知名度が高い人材と知名度が低い人材がいた場合、適任者として指名されるのは、知名度が高い方になる可能性が高い。比較検討もせずに、「よく知られている方を選ぶ」のは、一見、安易だが、さほど大きくは間違わない。

 当然ながら、知名度が低い人材の方が、実務能力が高いことは充分にあり得る。その場合、知名度が低い人材にとっては「理不尽」だろう。だが、知名度向上もビジネスの技能のひとつであり、「知名度も実力のうち」なのだ。

 比較検討するにも、手間と時間がかかる。知名度がある方を選べば、効率的な意思決定ができる上に、大きくは間違わない。

 「コンビニならセブンイレブン、衣料品ならユニクロ」という具合に一旦、評判が確立すれば、仕事は向こうからやってくる。

 組織人にとっても、「この手の案件なら、あの人」という評判を組織内で得ることが、決定的に重要となる。

 適任者選びにおいても、能力や実力以上に、知名度と「この人に任せれば、大きくは間違わない」という安心感こそが、選ばれるための要件だと思う。

 山田宏哉記

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