ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3354)

 「これまでの学びを活かせる仕事」は存在しない

 NHKの番組で若年層向けのハローワークが取り上げられていて、その中に「これまでの学びを活かせる仕事」を希望する人が出演していた。

 全く余計なお世話だが、ついつい「だから、無職なんだよ」と感じてしまった。このような自己中心的な姿勢と考え方では、仕事にありつくのは難しく、仮に仕事を得られても、苦労すると思う。

 学生が「これまでの学び」を売りにするなどは、「そもそもの姿勢が間違っている」。これでは、不採用となって当然である。

 世の中の殆どの職業は、実際にその職業に就いてからでなければ、業務遂行に必要な技能を身に付けることができない。当然、「これまでの学び」が、通用するほど、甘くはない。

 新入りに求められているのは「新しい環境に適応するために、ゼロから必死で勉強すること」であり、決して「過去の学びを活かすこと」ではない。

 企業は新入りに対して、決して「これまでの学びを活かして欲しい」とは考えていない。期待するのは「成果につながることを新たに学ぶ」ことだ。

 また、勉強するだけでは意味がなく、事業推進や損益に貢献する成果を出さなければ、仕事としては評価できない。

 ビジネスの世界では、基本的に「学び」は成果や実績に含まないし、評価の対象にもならない。

 例えば、大学で経済学を学んだ学生が、飲食店の接客や物流のドライバー、ビルメンテナンスなどの仕事をするとして、「これまでの学び」が通用するか。新たに必死に勉強しなければ、新しい環境には適応できないだろう。

 僕も大学時代、人一倍勉強したとは思うが、実社会で働きはじめた時、「これまでの学び」は、全くと言っていいほど役に立たなかった。働き始めてからは、またゼロから必死で勉強し直した。

 「これまでの学びを活かせる仕事」にこだわる人がわかっていないのは、そもそも職業は「お金を払う人」がいるからこそ、成り立っていることだ。

 汎用的な知識では対応できず、手間がかかり、難しいことだからこそ、お金を払ってでも他人に依頼する。

 学生の「これまでの学び」が通用する仕事なら、自分や既にいる従業員がするのが合理的な判断で、人を雇ってまでする仕事ではない。

 企業にとって、人を雇うのは、固定費の引き上げを意味しており、重い決断である。また、一度雇ったら、簡単に解雇することもできない。

 それを考慮すれば、「これまでの学び」に固執する過去志向の学生は、採用する価値があるか。僕は、「ない」と思う。

 実のところ、「これまでの学び」を活かせる場なんて、世の中には殆どない。仮にあったとしても、そういう「汎用的で楽な仕事」は、少なくともハローワークで大々的に募集されることはないだろう。

 山田宏哉記

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