ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3366)

 なぜ、「嫉妬」を「義憤」にすり替えるのか

 ウェブで話題になっていたが、キー局内定者の飲み会で「オレたち、すごくね?」と傲慢トークが繰り広げられていたそうだ。

 この話自体は、実はどうでもいい。個人的には「傲慢でも、別にいいんじゃない?」と思う。実際、凄いわけだし。

 僕が問題にしたいのは、むしろ、このような話に「義憤」を感じて、批判している人の方だ。

 世の中には、傲慢な人間がたくさんいる(僕自身、傲慢と言われても仕方がない)。「俺様は凄い」と主張するのは、格好良いことではないが、いちいち目くじらを立てるほどのことでもない。

 浮浪者が路上で酒盛りをして、「俺たちって凄くね?」と傲慢トークをしても、特に怒りは湧かないだろう。それがなぜか、TV局の内定者が「俺たちって凄くね?」と傲慢トークをすると、批判の嵐が起きる。

 なぜか。ここのところをよく考えた方が良いと僕は思う。

 例えば、自分の年収が300万円だとして、TV局の内定者が「俺たちって、凄くね?」と傲慢トークをしていたら、「義憤」を感じるだろうか。一方、自分の年収が3000万円だったら、特に「義憤」を感じるだろうか。

 仮に、自分の年収によって態度が変わるなら、それは「義憤」ではなく、ただの「嫉妬」だ。

 TV局の内定者が傲慢トークをするのは、決して褒められたことではないだろうが、「嫉妬を義憤にすり替える」のも、同様にみっともないことだ。

 なぜ、「嫉妬」を「義憤」にすり替えるのか。

 それは結局、自尊心を守るための防衛本能だと僕は思う。高給を食む彼らと、薄給激務の自分の境遇を比較すると、あまりに惨めだから、何か説教をしないと、気が済まないのだろう。

 しかし、素直に、彼らの「勝利」と自らの「敗北」を認めることが、潔い態度だと僕は思う。

 学生時代、同じアルバイト先で働いていた人が、TBSと朝日新聞に内定したが、僕より優秀だった。シニカルな僕と違って、社交的でポジティブだった。やっぱりこれは、正直に認めないといけない。

 だから、キー局の内定者に「俺たちって凄くね?」と言われたら、「その通りです」としか言いようがない。

 但し、今の僕との比較であれば、話は全く別だ。仮に今、TV局に入社する権利が得られたとしても、入社する気は全くない。おそらく、TV局の仕事より、今の僕の仕事の方が、遥かにやりがいがある。

 実務能力を伸ばす上で大切なのは、言い訳をせず、「負け」は「負け」と、潔く認めることだ。ここで誤魔化したり、言い訳をする人が多いが、それではいい仕事ができないし、能力も伸びない。

 仮に、TV局内定者の傲慢トークに嫉妬したなら、彼らよりいい仕事をして、彼らの収入以上の以上のお金を稼ぐことを目指すべきだ。

 「嫉妬」を「義憤」にすり替えて、「謙虚になれ」とか説教を垂れるのは、時間の無駄でしかない。

 山田宏哉記

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2014.6.13 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ