ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3372)

 大物プロブロガーは、「お荷物社員」だった 
 
 大物プロブロガーとして著名なイケダ八ヤト氏の著書『年収150万円で僕らは自由に生きていく』に、彼の会社員時代の業務が記されていた。

 "新卒で大企業に入り、広報部に配属された僕は、ウェブに詳しかったこともあり、当時黎明期を迎えていた「ソーシャルメディア」の担当を任されました。"(P75)

 "当時の僕の業務の中心は、海外のメディアを読み、最新の情報を収集・社内共有していくことでした。"(P76)

 要するに、大物プロブロガーの会社員時代の業務は、海外のソーシャルメディア関連の記事を読んで、社内で共有すること(だけ)だったとわかる。

 ある程度、組織人としての見識があると、上記の記述から、彼の評価は低かったとわかる。

 なぜなら、広報部に配属されたにもかかわらず、割り当てられた仕事が、「他人との交渉が不要」「社外(顧客・投資家・取引先)との接点がない」「業績と関係ない」ことだからだ。

 若干、補足すると、企業の広報は特に「他人との交渉」が必要不可欠で、他者の感情の機微を読み取ることが欠かせない。

 広報部に配属されたのに、「他人との交渉」が不要な仕事を割り当てられた時点で、わかる人には、上司の苦労を含めて、事情が理解できる。

 「海外のソーシャルメディア関連の記事を読んで、社内展開するだけの仕事」というのは、普通の社員から見たら、かなりイラッとすることだ。

 「海外はこんなに進んでいる。日本企業(ウチの会社)はこんなに遅れている」と言うだけで飯が食えるなら、楽なものだ。

 こういう態度では、通常、汗水垂らして働く現場社員からの支持を得られない。

 ソーシャルメディア関連の記事を読んでいるだけの社員などは、どうみても「お荷物」や「給料泥棒」に見えてしまうからだ。こんな人に「日本企業は遅れている」とか言われても、カチンとくるだけだろう。

 「ソーシャルメディア関連の記事を読むのが仕事」でも構わないが、それで他の社員からの支持を得られると考えるのは、間違いだ。

 この場合は、「給料泥棒ですみません」くらいの低姿勢でないと、現場社員には相手にしてもらえないだろう(実際、給料泥棒だと思う)。現場社員を見下すのは論外だ。

 精神論は言いたくないが、やはり、いい仕事をする上で、現場で働く経験は決定的に重要だ。

 会社でソーシャルメディア関連の記事を読んでいただけのお荷物社員が、日本企業や日本人の働き方を云々言うのは、さすがにナンセンスだ。自分の勘違いに気付いてすらいないのも痛い。

 少なくとも、大物プロブロガーへの処遇は、エース級の社員に対する扱いではない。むしろ、厄介な「お荷物社員」を隔離するために、「無理やり仕事を作った」という色彩の方が強い。

 また、この辺りの事情も考慮すれば、大物プロブロガーが執拗に日本企業を批判する理由も、理解できるのではないか。

 山田宏哉記

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2014.6.13 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ