ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3373)

 大物プロブロガーの失敗に学ぶ仕事術 

 大物プロブロガーは会社員時代、「お荷物社員」扱いされ、仕事内容が「ソーシャルメディア関連の記事を読むだけ」だった。

 そして、社内の理解を得られず、ソーシャルメディアのアカウントの開設すらできなかった。

 要するに、何の成果も出せなかった。彼はそれを「社員のビジョンのなさ」「日本企業の古さ」のせいにする。

 しかし、そのような考え方は、ビジネスの世界では、完全に間違っている。

 確かに、大物プロブロガーが置かれた状況は「お荷物社員の隔離」と言えるが、その中でも、大きな成果を出す方法はあった。

 仮に僕が会社員時代の大物プロブロガーと同じ境遇になったら、どのように行動するか、考えてみたい。

 「ソーシャルメディアの導入」が目的なら、一般的なITニュースを集めても意味がない。まず「社員の支持を得て、経営幹部の決裁を得ること」に集中するべきだ。

 それでは、「社員の支持を得て、経営幹部の決裁を得る」ために、必要なことは何か。また、障害となることは何か。重要なのは、その要素を徹底的に考えて洗い出し、優先度の高い順に押さえていくことだ。勝負は、この段階で決まると言っても良い。

 重要なのは「ソーシャルメディアは今時の常識」とか、「他社がやっているから、当社もやるべき」みたいな物言いは、所詮、ただの印象論で「経営視点のロジック」になっていないことだ。解決すべき課題と導入効果を語れない案件など、却下されて当然だ。

 法人相手の商売では、具体的な商品をソーシャルメディアで宣伝しても、効果は薄いと考えられる。

 また、「ブランドイメージの向上」のために導入するという選択肢もあるが、こちらは採用と比べると、定量化が難しい。

 従って、僕なら、BtoB企業でソーシャルメディアを導入するなら、目的を「採用」に絞る。

 コアとなる主張は「採用活動にソーシャルメディアを取り入れた方が、応募者が増え、内定辞退率も下がる。その結果、業績に貢献する良い人材を確保できる」だ。

 そして、情報収集では、この根拠となる情報を集めて、この主張が本当に正しいか、自ら検証するわけだ。更に、採用チームと共同戦線を張る方向で、調整する。

 もちろん、BtoB企業のソーシャルメディア活用の正解が、「目的を採用に絞る」であるとは限らない。それでも、経営幹部を納得させやすいロジックのひとつではある。

 企業には、解決すべき問題が色々ある。「新しいこと」をするなら、「問題解決にどう役立つか」を訴える必要がある。

 「今時の常識」「海外では」「他社では」みたいな物言いで、お金と人を注ぎ込む提案が通るわけがないだろう。当たり前のことだ。

 大物プロブロガーは、他人事のように「今時の常識」「海外では」「他社では」みたいな点を論拠に、「日本企業(ウチの会社)は古い。社員の頭が硬い」と言っているだけだ。その程度の物言いなら、誰でもできる。

 重要なのは、あくまで解決すべき課題と導入効果の方だ。また、そのようなロジックを練り上げ、物事を実現に導くことこそ、優秀な人材が担うべき仕事のはずだ。

 「企業が抱える課題」を解決するために、「新しいこと」を導入する仕事は、ExcelやWordで帳票を作ったりする仕事とは、難易度が根本的に異なる。そういう仕事は諦めて、定型業務に徹するのも、ひとつの選択肢だ。

 いずれにしても、漠然とソーシャルメディア関連の記事を読むだけでは、何も変えることができない。

 大物プロブロガーは「なぜ、満員電車に乗って通勤しなきゃいけないのか」と言うが、確かに「ソーシャルメディア関連の記事を読むだけ」の仕事なら、わざわざ会社に出勤する必要がないだろう。

 だが、例えば「ソーシャルメディアの利用目的を採用に絞る」という意思決定や、採用チームと共同戦線を張るための調整は、対面で交渉すべきだ。仕事のレベルが上がるほど、交渉が必要になる。

 大物プロブロガーが、ソーシャルメディアの専門家を自称しながら、この程度のことににも気付けなかったのは、やはりお粗末だと言わざるを得ない。

 山田宏哉記

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2014.6.13 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ