ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3375)

 「今、解決すべき問題」と実務という試練 

 「勉強ができても、仕事はできない」という人は、一定数存在する。

 それでも、その理由は、あまり明確に説明されることがない。せいぜい、「仕事と学校の勉強は違う」や「人間力」みたいな曖昧な一般論で、誤魔化されてしまう。

 僕は最近、複合的なキッカケにより、この理由に気付いた。

 この疑問を解く鍵は、「今まさに解決すべき問題」にある。

 「勉強ができても、仕事はできない人」に顕著なのは、専門知識の習得や情報収集を、「逃げ」の口実に使うことだ。

 何から逃げているかと言えば、「今まさに解決すべき問題」に他ならない。「今まさに解決すべき問題」に対処するためには、「自分の頭で考えること」と「手持ちの材料で何とかすること」が欠かせない。

 ビジネスの世界では、「今まさに解決すべき問題」が次々と発生する。

 例えば、「まさに今、水道の蛇口が壊れていて、水が溢れている」という類の問題だ。事態は急を要する。まずは水を止めるために、手持ちの材料で応急処置をするしかない。

 あるいは、今、目の前で火事が起きているなら、何としてでもまず消火するべきであって、教科書や参考書で勉強を始めても仕方がない。

 「勉強ができても、仕事はできない人」は、「今まさに解決すべき問題」に"勉強"で立ち向かおうとする。実務で世界を出すためには、このような姿勢は、根本的に間違っている。

 学校教育では、「今まさに解決すべき問題」に、対処する能力を鍛えることができない。おそらく、教師自身も、この能力を身に付けていない。なぜなら、「お勉強」では解決できないからだ。

 「今まさに解決すべき問題」に対処するのは、率直に言って、難しい。センスや暗黙知がモノを言う面もある。それでも、実務家への第一歩は、「今まさに解決すべき問題」への対処にあると言ってもいいくらいだ。

 世の中には、「自分が知らない重要な知識や情報」が、たくさんある。それらの全てを知る前に、決断を下すのは、不安が残るし、勇気が必要だ。

 だからこそ、徹底的に自分で考え、手持ちの材料を最大限に活かすことが必要なのだ。

 「この問題に対処する上では、もはや新しい専門知識の習得や情報収集は必要ない」と言い切れるか。

 目の前に問題がある時、「まずは勉強」や「まずは情報収集」という姿勢は、所詮、"逃げ"に過ぎないと、よく自覚する必要がある。

 なぜ、あの人は、勉強はできても、仕事ができないのか。結局のところ、それは「今、解決すべき問題」から逃げているからなのだ。

 山田宏哉記

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