ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3378)

 グローバル企業に学ぶストレッチ・マネジメント

 プライベートでヒューマンキャピタル2014で基調講演「ジョンソン・エンド・ジョンソンのグローバル人材戦略」を聴講した。

 社長の日色保氏の話の肝は、「戦略的アサインメント」と「ストレッチ」だった。

 簡単に要約すると、「現状の能力以上のポジションに敢えて任命し、必死にそのポジションに適応させることで、劇的な能力向上をもたらす」というわけだ。

 会田秀和(著)『P&G流 世界のどこでも通用する人材の条件』(ダイヤモンド社)でも、「ストレッチ・アサインメント」として、ほぼ同じ趣旨の人材戦略が記されている。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンもP&Gも優良グローバル企業として、ベンチマークにされることが多い。その両企業とも、日本人が好きな「適材適所」ではなく、「ストレッチ・アサインメント」で人材を配置している意味は重い。

 ワールドカップで惨敗したサッカー日本代表などを考えても、「適材適所」の問題点がわかると思う。

 「ワールドカップで勝つ」ことを目的にするなら、「現在、日本代表に相応しい選手」「現時点での最強の布陣」を選ぶのではなく、「将来有望な選手を実力不足の段階で日本代表に選抜し、一気に実力を向上させる」ことが必要だろう。

 残念ながら、日本では、人員構成などの理由で、ストレッチ・アサインメントをしにくい。

 少子高齢化に加え、「長幼の序」の意識が強い日本では、「適材適所」の人材配置ができるだけでも、恵まれているとは思う。

 だが、本来は適材適所では不充分で、優良グローバル企業では、実力不足の段階で、有望な若手を重責に抜擢する人事を断行している。この点は、忘れてはいけない。

 勤務時間外に自己啓発や勉強を奨励する日本企業は少なくないが、自己啓発や勉強では負荷不足で、グローバル企業のストレッチ・アサインメントには対抗できないと思う。

 実務能力の向上を目的とするなら、あくまで「高度な判断を伴う実経験」であることが必須だ。

 それでは、日本企業で働く優秀な若手が、飛躍的に実力を伸ばすためにはどうすれば良いか。ポジションが足りないなら、「組織の外」で経験を積むしかないと僕は思う。僕も、ウェブ運営や投機で、経験不足を補完している。

 確かに、自分よりも若い上司の下で働いたりするのは、あまり愉快なことではない。

 動物の本能に照らせば、「生意気な若造め。俺様は人生の先輩なんだぞ」という感情が生まれるのは、ある程度は仕方ない。プライドも傷付くかもしれない。

 しかし、日本企業がグローバル企業になる上で、このような感情は、克服しなければならないと思う。

 山田宏哉記

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2014.7.16 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ