ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3382)

 「仲間」と認められる人、認められない人

 日本企業では、「俺様はクリエイティブで優秀」とアピールすることを最優先するような人物は、殆ど評価されない。それはなぜなのか、考えてみたい。大物プロブロガーなどは、まさにそのような人物だろう。

 組織で働く上で、最も重要な評価項目は、「この人と一緒に働きたいか」だと思う。「仲間と認められるか」と言い換えても良い。

 組織の中で、大物プロブロガーのような社員が高い評価を得られないのは、「日本企業の体質が古いから」ではなく、「一緒に働きたくないから」「仲間と認められないから」だと思う。

 これは僕自身の話だが、以前、「君には、『ここで働いて生きていくしかない』という気持ちがない」と指摘されたことがあった。厳しいことを言うと、実はそういう人は、組織の中で「仲間」とは認められないのだ。

 今では、僕は、今いる場所で働いて、生計を立てるしかないと思っている。だからこそ、日々の仕事で真剣に勝負する。

 「いつでも転職できる」とか「独立したらもっと稼げる」と考えるのは自由だが、少なくとも、組織内では言動に出すべきではない。そういう人は「仲間」とは言えないからだ。

 「俺様は、組織に頼らずとも生きていける」とアピールしたくなる気持ちはわかるが、組織の中で、このようなアピールをするのは有害無益である。「ここで働くしかない」と覚悟を決めた人からすれば、このようなアピールをする人は、非常に不愉快で、目障りな存在だ。

 船が沈没しかけた時、船長は最後まで船に残る義務がある。一般の船員にしても、お客さんが避難する前に、逃げ出す船員は、「仲間」とは認められないだろう。

 大物プロブロガーのように、自分の勤務先を泥舟呼ばわりして、逃げたことを自慢するような人とは、誰も一緒に働きたくないだろう。

 僕を含めて、組織で働く時、通常、重要な仕事は「仲間」にしか依頼しない。「仲間」と認められていない人は、そもそも仕事そのものを確保できないので、当然、成果を出すこともできない。「仕事さえできればいい」という考えは、現実には通用しない。

 ノマドワーカーは、「台風の日にまで出勤する社畜」を揶揄するが、「果たすべき役割」があり、自分のことを待っている「仲間」がいるなら、大変な時こそ、現場に身を置くべきだと思う。

 大物プロブロガーは、責任感と当事者意識が欠落していたために、日本企業から「仲間ではない」と判断され、放り出されたのだろう。そして、仲間として受け入れてもらえなかったことへの逆恨みが、彼の「社畜批判」に繋がっているのだと僕は思う。

 良い悪いは別として、組織人として、信用できるかどうかは、案外、「ここで働くしかない」という覚悟を持っているかにかかっている。この覚悟は、責任感や当事者意識となって現れる。

 そして、この責任感と当事者意識こそ、「仲間」と認められるか、認められないかを分かつ基準なのだ。

 山田宏哉記

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2014.7.26 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ