ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3383)

 チームワークに逃げるな

 三浦知良(著)『とまらない』に、チームワークについて、示唆的な記述があった。

"まとまろう、とはよく言われる。でも一人ひとりがプロであるはずの集団をまとめる数々の儀式は、表向きのまとまりで終わることが多い。

 仮に僕がみんなをカラオケに連れて行くとしよう。その場では「すごくチームワークが高まった」と感じるほどにまとまるだろうね。でも、それで勝てるなら苦労はしないよね。
こんなときでも何かを信じて、やるしかない。個々人がクオリティーを上げるしかない。"(前掲書,P37)

 「チームワークが大切」と言われれば、内容的には反論のしようがない。組織で働いているなら、尚更だ。実際、チームワークが「大切か、大切ではないか」と問われれば、僕も「大切だ」と言うしかない。

 だが、僕は「チームワークが大切」という考えや台詞に、違和感を持っている。

 経験的に気付いたことだが、「チームワークが大切」と言う人は、個人としての成果が不充分なことが多い。考えてみれば、それは当然ではある。

 個人として、平均以下のパフォーマンスしか出せなかった時は、「チームの成果」「チームワークのおかげ」にした方が、責任を問われずに済む。個人の成果と責任が曖昧になるからだ。

 単純な話、お荷物になっているチームメイトが、「チームワークの大切さ」とか「チーム全員の成果」とか言い始めたら、頭に来るのではないだろうか。

 普通、「チームワークを云々する前に、お前自身の能力不足を何とかしろ」と感じるのではないか。少なくとも、僕ならそう感じる。実力もないのに、チームワークの能書きを垂れることほど、見苦しいものはない。

 プレイヤーなら、一生懸命練習し、レギュラーの座を獲得し、試合で活躍することだけを考えれば良い。

 集団競技で、個人技が未熟なためにミスが多くて、チームに迷惑をかけている選手がいるとする。この場合、必要なのはチームワークを云々することではない。必要なのは、この選手の個人技を向上させるか、他の選手と交換することだ。

 私見では、組織の中で「チームワークの問題」と捉えられていることの相当部分は、「個人の能力不足」に起因する。

 例えば、日本企業の中で、日本語の読み書きができる人は、実は少数派だ。個々人が、日本語を使いこなせるようになるだけで、組織のコミュニケーションの問題は相当改善する。

 チームワークについて、敢えて言うべきことがあるとすれば、それは「他人の邪魔をするな」とか「他人の足を引っ張るな」という趣旨のことだと思う。

 プレイヤーはわざわざチームワークのことを考える必要はないが、チームワークに関して「してはいけないこと」はある。

 「チームワークの大切さ」を強調する人に限って、やたらと他人の仕事を邪魔したり、妨害する傾向があると思う。他人の足を引っ張りながら、「チームワークの大切さ」を唱えるのはブラックジョークだが、仕事ができない人にとっては、合理的な選択だ。

 要するに、チームワークとは、あくまで「結果的に成し遂げられるもの」であり、「目的にすべきこと」ではない。改めて、「チームワークに逃げるな」と言っておきたい。

 山田宏哉記

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