ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3386)

 攻めの仕事、守りの仕事  

 ビジネスには攻めの要素と守りの要素がある。

 ごく簡単に言えば、売り上げを伸ばす方策が「攻め」、「コストを減らす」方策が「守り」だ。個人レベルの仕事に落とし込んでも、やはり攻めの要素と守りの要素があると思う。

 僕自身は、性格的には「攻め」の方が向いていると思う。ところが、僕はこれまで、諸般の事情で、「守り」の要素が強いことばかりをやってきた。「ミスや間違いがないこと」「失敗しないこと」が最優先の課題だった。

 漁船の船底に穴が空いていたら、漁獲をする前に、船底の穴を塞がなければならない。船が沈んでしまったら、漁獲どころではない。その意味では、守りは攻めに優先する。

 幸か不幸か、僕は他の人が見つけれらない「船底の穴」を検出するのが得意だった。そのためか、僕は船底に張り付いて、「船底の穴」に応急処置を施す機会が多かった。本当は自ら漁獲をしたいのだが、船が沈没しては元も子もない。

 これまでの積み重ねもあり、「船底の穴」は、だいぶ塞ぐことができた。

 漁船の目的は、あくまで「魚を獲ること」であり、船底で「穴」を塞ぐだけでは、一円の利益にもならない。そろそろ僕は、自ら「漁獲」に乗り出そうと思っている。

 その一環として、まず、細かいミスや不具合を指摘する時は、「重箱隅子(じゅうばこすみこ)で恐縮ですが…」というフレーズを使うことにした。

 これまで、重箱隅子により、随分と「守り」にも貢献してきたとは思う。しかし、僕の本分は「攻め」であり、変革とイノベーションで成果を出したい。重箱隅子もできるが、だからと言って、ディフェンダーに回されるのは困る。

 僕は、今でも、重箱の隅を突くのは好きで、細かいミスや不具合を検出するのは、人並み以上に得意だと思う。下手をすると、自分の仕事を差し置いて、重箱隅子をやってしまう。あくまでプラスαの要素だと肝に命じないと、ついやり過ぎてしまう。

 ストライカーであれば、シュートで得点を決めてこそ、ストライカーだ。自ら得点を取れないなら、いくら守備に貢献しても、ストライカーとしては、低い評価しか得られない。

 もちろん、ストライカーであっても、守備に貢献できないよりは、守備に貢献できた方が良い。しかし、それはあくまでプラスαであり、核となる要件ではない。守備に走り回って、肝心なところで得点できなければ、それこそ本末転倒だ。

 組織の風土としても、「重箱隅子」が高く評価されるのは、危険信号だと思う。特に、新しいアイディアや革新的な施策を考える人より、重箱隅子が高く評価されるようでは、その組織は停滞を余儀なくされるだろう。

 これまでも、ゼロベースの企画で、アイディアを実現してきた自負はある。しかし、「工数の削減」や「コストの低減」など、どうにも「後ろ向きのアピール」をしてきた面は否めない。

 僕はもっと、「攻撃型」になるべきだと感じている。重箱隅子で守備に貢献するのも大事だが、それ以上に攻撃で、「自ら点を取る」ことにこだわる。今、そんなことを感じている。

 山田宏哉記

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