ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3391)

 パフォーマンスを低下させる「管理の徹底」

 岡本茂樹(著)『反省させると犯罪者になります』(新潮新書)と続編の『凶悪犯罪者こそ更生します』(新潮新書)を読んだ。

 全体を通して、目から鱗が落ちる内容だったが、特に下記の指摘は、教育に携わる人にとって非常に重要な指摘だと感じた。

 "非行少年や犯罪者は「しつけを受けていないから悪いことをするのではないか」と考えられがちですが、「しつけを受け過ぎている」ことの方が犯罪を起こす原因になっている場合が多いのです。"(『凶悪犯罪者こそ更生します』P173-174)

 例えば、無期懲役囚の美達大和氏は、「厳格すぎる父親」に育てられた。その挙句、殺人犯に転落してしまった。

 凶悪事件の後、マスメディアが近隣住民や関係者に、犯人の人となりを尋ねると「犯人はおとなしい人だった」と評されることが多い。

 「嘘つきは泥棒のはじまり」と言われるが、「"本音の抑圧"は、凶悪犯罪者のはじまり」とも言える。

 類似のことを、僕も常々感じていた。

 ビジネスの文脈では、「管理を徹底する」とか「厳しく指導する」といった物言いが、割と使われている。

 私見では、「管理が徹底」された職場で、「厳しく指導」された人は、大抵、パフォーマンスが低い。萎縮して、指示待ち人間になってしまうからだ。

 僕もかつて、規律が厳しい団体に所属していた経験があるが、やはり技術と能力があまり伸びなかった。「指導者に怒られないこと」などの人間関係や責任回避が最優先になってしまって、成果を出すことそのものに集中できないのだ。

 「管理を徹底」している会社が、社員の過労自殺や残業代の未払いなど、様々な問題を抱えていることは珍しくない。この対策は、「更なる管理の強化」になるのだろうが、彼らは、悪循環に陥っていることを自覚していない。

 細かい会社規則を作って、「管理の徹底」やら「風紀の粛清」を唱えている会社は、大抵、業績が悪い。重大なコンプライアンス違反をおかす可能性も高い。「しつけの受け過ぎ」が犯罪の要因になるのと、同じことだ。

 岡本氏も著書の中で主張しているが、大切なのはやはり、「本音を吐くこと」だ。

 顧客満足につながるサービスや効果的な宣伝方法について、建前や正論で議論しても、成果は出せない。「管理の徹底」などとほざいている人に、未来はない。

 本音で考えるからこそ、世の中に受け入れられる、革新的な成果が生まれるのだ。

 山田宏哉記

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2014.8.18 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ