ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3400)

 なぜ、「意識が高い人」は嫌われるのか

 前回、「意識が高い」とは、「地に足がついていない人」を揶揄する婉曲表現だと書いた。

 それではなぜ、「意識が高い人」あるいは「地に足がついていない人」は嫌われる傾向があるのか、僕の個人的な経験を通して、考えてみたい。

 僕は学生時代、おそらくは「意識が高い人」だった。数年の実務経験の後、、転機になる出来事があった。

 数年前、初めてゼロから企画して、自分の手で最後まで仕上げたことがあった。ささやかだったが、僕にとって、これは紛れもなく「手作りの成果」だった。

 幸い、この時の成果は、「地に足がついた改善」との評価を得ることができて、随分嬉しく思ったものだ。

 「手作りの成果」が「地に足がついた改善」と評価されてからは、僕はもはや「意識が高い人」ではなくなったと思う。

 良い悪いは別として、日本企業では「頭の良さ」に頼った仕事のやり方は、嫌われることが多い。「自ら手を動かして、足で稼ぐ」という姿勢がないと、なかなか仲間から信頼を得られない。

 表面的な態度は別として、「意識が高い人」は、本音では「俺様の仕事は考えること。実行は他の誰かがやるべき」という態度をとっている。「考えること」の部分は、「クリエイティブなこと」と言い換えてもいい。つまり、現場に無関心なのだ。

 これまで、僕は下っ端として、他の人が嫌がる仕事をこの手で処理してきた。「実行は他の誰かがやるべき」などと無責任に投げられた案件にも、対応してきた。

 その上で言わせて貰えば、「意識が高い人」など、単に邪魔で目障りな存在でしかない。

 「意識が高い人」は、技術的なことや現場のオペレーションを全然わかっていないくせに、難癖だけは一人前に付けてくる。「自分でやってみろ、バカ野郎」という話だ。

 僕も、頭を酷使はする。しかし、「俺様の仕事は考えること。実行は他の誰かがやるべき」などとは思わない。

 自分で考えたことは、極力、実行まで自らやる。その中で当然、技術的な課題と格闘することもある。だからこそ、地に足をつけることができる。

 おそらく、「意識が高い人」に必要なのは、企画から実行まで、独力で仕上げる「手作りの成果」だと思う。

 企画は実行してこそ、価値がある。そして、現実には、実行こそが難しい。そのことを身体で理解した時、おそらく彼は、「意識が高い人」ではなくなっている。

 「意識が高い人」について、いつも感じるのは、「言葉の空中戦」に終始していて、地に足がついていないことだ。彼らが本当に主張したいことは、「俺様の頭の良さを思い知れ」だと透けて見えて、下品なことこの上ない。

 これでは、「意識が高い人」が嫌われるのも、当然と言えるだろう。

 山田宏哉記

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2014.9.13 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ