ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3403)

『改変版・山月記』で学ぶ大物プロブロガーの本性と末路

 中島敦の短編小説に『山月記』がある。

 非常に示唆的な小説で、「俺様には才能がある」と思い上がった主人公が、肥大化した自尊心故に道を誤り、転落していく。 その筆致の鋭さには、脱帽するしかない。

 この短編小説はまさに、大物プロブロガーのために書かれたようなものだ。

 主人公を李徴を「イケハヤ」に設定改変し、『改変版・山月記』として、以下に紹介したい。

 "高知のイケハヤは博学才穎、天宝の末年、若くして名を広報に連ね、ついでソーシャルメディア担当に補せられたが、性、狷介、自恃むところ頗る厚く、社畜に甘んずるを潔しとしなかった。

 いくばくもなくルネサスを退いた後は、故山、高知に帰臥し、人と交りを絶って、ひたすらブログ作りに耽った。社畜となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、ブロガーとしての名を死後百年に遺そうとしたのである。

 数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東京へ赴き、ルネサスの非正規雇用の職を奉ずることになった。一方、これは、己のブログに半ば絶望したためでもある。

 曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才イケハヤの自尊心を如何に傷つけたかは、想像に難くない。

 彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難がたくなった。一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。

 或夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。

 高知の山野を捜索しても、何の手掛りもない。その後イケハヤがどうなったかを知る者は、誰もなかった。"

 おそらく、いつの時代も、このような若者は存在するのだろう。そして、「俺様の凄さ」が認められないまま、世の中を逆恨みして、消えていく。

 『山月記』を読めば、自ずと大物プロブロガーの本性と末路が見えてくることだろう。

 山田宏哉記

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2014.9.16 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ