ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3409)

 僕は、後輩の活躍に嫉妬している

 実生活で、こんな趣旨の話をする機会があった。

 「自分と同年代や年下の人が活躍しているのを目にすると、心中、穏やかではなくなってしまう。自分より『実力が下』と思う人が目立っていれば、『なんであんな奴が』と腹が立つ。正直、これは嫉妬だと思う。」

 「自分と同年代や年下の人で、彼我の実力差がさほどなさそうな人が、世の中で認められて、スポットライトを浴びると、どうしても嫉妬の感情を隠して、悪口を言いたくなる。僕もそうだ。だからこそ、ここは悪口を自制して、自分の成果に集中することが大切だと思う。」

 「最近は自分の嫉妬に自覚的になったので、公論を装って、嫉妬の感情を吐き出すことが減った。実力のない人がスポットライトを浴びて、悔しさを感じた時は、Twitterで悪口を言うのではなく、自分の持ち場で、自分の成果を高めることに集中するようにした。」

 以前、お世話になっていた方も、「自分より実力のない奴が世の中で認められて、気が狂いそうになる」という趣旨のことを著書に書いていた。

 嫉妬は、彼我の実力差があまりにかけ離れていると、そもそも感じない。「足元にも及ばない」という表現があるが、それほどの差があれば、気持よく負けられる。

 僅差で負けたり、審判が判定ミスをして負けるから、禍根が残り、嫉妬となるのだ。

 僕は今、不遇というわけではない。むしろ、とても恵まれた環境にいると思う。「好きなことをして飯を食っている」という意味では、僕もまた、誰かに嫉妬されているかもしれない。

 それでもやはり、悔しいものは悔しい。同世代や年下の人に対して、素直に「負け」を認めるのは、決して気分の良いものではない。

 人はいつか、眩いほどの才能を持った若者との競争に敗れ、引退を決意する日がやってくる。その現実を直視できないがために、僕たちは「最近の若者」の悪口を言うわけだ。

 自分の「才能のなさ」を自覚すべきタイミングも、「後輩に追い抜かれた時」だと思う。僕にも、何度かそういう瞬間があった。僕には、スポーツや格闘技の才能はなかった。それは、努力したにもかかわらず、後輩に追い抜かれた時、否応なしに気付かされた。

 その上で、常々思うことがある。人間にとって、本当に競わなければいけないのは、「自分より上の世代」ではなく、「自分より下の世代」だ。

"老害"という表現がある。その定義は「保身のために、後輩の成長を妨害すること」で良いだろう。実年齢とは、必ずしも関係ない。

 正直に認めると、僕は同世代や年下の人が、自分以上に活躍していると、嫉妬する。悔しいけれども、最低限、彼らの邪魔や妨害はしない。それだけは自分に対するモラルとして、持っていたいと思う。

 山田宏哉記

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