ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3410)

 日常生活で大切なことは少年マンガが教えてくれる

 実生活でこんな話をする機会があった。

 「少年マンガの価値観は、『仲間』『正義』『勇気』といった具合に単純だけど、実際に世の中で働く上で、こういう単純な価値観は、案外、重要だと思う。一緒に働きたいと感じるのは、やはり素直に『仲間』『正義』『勇気』を大切にする人だ。」

「日々、実際に働いている人が求めているのは、案外、単純なものだと思う。ハリウッドのアクション映画などは、毎回、『お決まりの展開』で、芸術性が高いとは言えない。それでも、余暇にストレス解消目的で観るなら、単純な勧善懲悪作品も、案外いいものだ。」

「例えば、鬱業の主人公が奇行と自殺未遂を繰り返す話などは、『芸術性が高い』と言えるかもしれない。しかし、申し訳ないが、僕はもう、貴重な余暇の時間を、わざわざ気分が盛り下がる作品の鑑賞に使いたくない。」

 日常生活では、困っている人がいたら、少年マンガの価値観「仲間・正義・勇気」で接すれば、大きくは間違わない。

 あまりに単純かもしれない。しかし、あまりに単純だからこそ、実は難しいのだ。

 実際、物事を単純な勧善懲悪で捉えることは、思想的な深みを感じられないし、「大人の態度」にも見えない。

 人は歳をとるにつれて、シニカルな視点を身に付けていく。そのこと自体、必ずしも悪いことではない。

 悪いことではないが、自己顕示欲に駆られ、「俺様の頭の良さ」などの不純物をアピールしようとして、大きく間違えたりする。

 思想的な議論をすれば、正義は相対的なもので、仲間と言っても人間は所詮利己的な存在で、勇気は容易に蛮勇に転化するのかもしれない。「世の中はそんなに単純じゃないんだ」は大人の決め台詞ですらある。

 確かに世の中は単純ではない。しかし、だからこそ、日常生活では「仲間」「正義」「勇気」といった単純な価値観が武器になるのである。

 意外と気付いていない人がいるが、日常生活は「議論と学問の場」ではない。要は結果が出れば良いのだ。

 例えば、目の中で暴漢が刃物を振り回していたら、まずは取り押さえるなり、警察に通報するのが正しい。

 こういう時、「なぜ、人を殺してはいけないのか」「善悪は相対的なものに過ぎない」「生命は無条件に価値があるわけではない」「警察は暴力装置だ」などと能書きを垂れるのは、「俺様の頭の良さ」をアピールしているわけだが、結局は、ただの阿呆である。

 コンビニ店員に「そもそもお金とは何か」などと聞くのは間違っている。「本質的には、色は存在しない」と言って、信号無視をするのは間違っている。人を殺してはいけない理由がわからなくても、人を殺すのは間違っている。

 思想的な議論は、基本的に「安全が確保された専用の場所」でやるものだ。それは、サッカーをやる場所が、グラウンドやサッカー場に限定されているのと同じことだ。思想的な議論を日常生活に持ち込むのは、自宅の台所でサッカーをやるようなものだ。

 日常生活を送る上では、少年マンガの価値観である「仲間・正義・勇気」を大切にすれば、おのずと成果が出て、評価が高まり、お金も稼げる。思想的な深みはなくとも、それが日常生活だ。そして、多くの場合、それだけで充分なのだ。

 山田宏哉記

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