ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3418)

 相手を不快にする「皆さん」という呼びかけ

 僕自身にとって、課題だと考えていることがある。

 それは「1対1のコミュニケーション」だ。僕は、不特定多数または特定多数に向けて、文章でレポートするのは得意だ。その一方、「特定の1人に対するコミュニケーション」は、我ながら稚拙だと思っている。

 「皆さん」という呼びかけは、基本的に相手に不快感を与えるものだ。ひとりひとりの人間として接するのではなく、十把一絡げの一般大衆として扱うわけだから。

 「皆さん」と呼びかける時は、少なくとも、その自覚を持つべきだと思う。

 アイドルはファンに向かって、「みんな、応援ありがとう」と言う。一見、ファンに感謝しているようだが、実は十把一絡げの扱いで、ファンのひとりひとりに対して、礼を言っているわけではない。

 アイドルの握手会が好評なのは、わずかな時間であれ、1対1で接して貰えるからだろう。

 メールの宛名も、安易に「各位」として一斉送信するのは、手軽だが、本当は良くないと考えている。

 本来なら、一通ずつ、キチンと相手の宛名を書くべきだ。また、本題の事務連絡以外にも、「ならではの一言」を付け加えたいところだ。現状、満足にできていないので、なるべく改善したい。

 「御礼メールの一斉送信」も本来は避けるべきで、礼を言うべき具体的な内容は当然、相手によって違うはずだ。

 10人に一斉送信している御礼メールを「具体的かつ固有の御礼の内容」を書いて、相手に合わせて1通ずつ送信するのは、「やる価値がある」と思う。そのためにも、タイピングのスピード向上や単語帳によく使うフレーズを登録するなどの工夫が、案外、重要になってくる。

 「相手によって、発信する情報を細かくカスタマイズする」のは、ウェブサービスの潮流でもあり、これができない人のコミュニケーション能力は、「コンピュータ以下」だ。
あまり他人のことは言えないが、僕がやった仕事に対して、「皆さん、ありがとう」と言われると、やはりカチンとくる。

 もちろん、時間と労力は有限であり、コミュニケーションを取る人数によっては、ひとりひとりに対応できず、どうしても「皆さん」とまとめて言わざるを得ないこともある。そのこと自体は、仕方ない。

 大切なのは、そういう時でも「本来なら、ひとりひとりに対して言うべきだが」という姿勢でいることだ。不思議なことに、その姿勢があれば、やむを得ず「皆さん」と呼びかけても、さほど失礼な物言いにはならない。

 安易に「皆さん」と呼びかけない。一見、些細なことだが、これは誠意の根本に関わる問題なのだ。

 山田宏哉記



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2014.10.26 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ