ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3422)

  3年やって駄目なら、諦める

 為末大(著)『諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉』(プレジデント社)を読んで、色々と思うところがあった。

 まず、初めに断っておくと、僕自身は大したレベルの人間ではない。

 それでも今、何とか好きなことを仕事にして、飯を食うことができている。それなりの収入あり、恵まれていると思う。

 その上で振り返ると、やはり何かの分野で飯を食おうと思ったら、自分に才能がないと判明したら、「諦める」ことで早期撤退することが重要だと思う。時間と労力は、「勝てる分野」に集中投下するべきだ。

 自分自身の経験に照らすと、「自分に(プロとして飯を食うレベルの)才能があるか、ないか」を見極める期間の目安は、約3年だと思う。

 3年やって、技能の伸びが芳しくないようなら、別の分野で勝負した方が良い。

 僕は、サッカーは3年でやめた。吹奏楽は2年でやめた。武術や格闘技は3年でやめた。技能の伸びが、芳しくなかったからだ。3年間、本気で取り組めば、自分に才能があるか否かはわかる。

 その一方、文章の執筆や読書については、なんだかんだで、15年以上続いている。この種の分野では、僕はまだ「才能のなさ」を自覚していない。そして今、飯を食えているのも、この種の分野で15年以上の蓄積があるからだ。

 人生が有限である以上、才能がない分野からは、「早期撤退」することが重要だ。

 僕が、サッカーや吹奏楽、武術や格闘技を15年以上続けていたら、傍目に見れば、立派な心意気かもしれない。しかし、その世界で飯を食うことはできなかったはずだ。

 プロになれない領域に膨大な時間を注ぎ込むのは、基本的には避けるべきだと僕は思う。

 小学校、中学校、高校、大学が、6年、3年、3年、4年で区切られているのは、自分の向き不向きを見極めるためには、丁度いい仕組みだ。中学の部活動で活躍できなかったなら、高校で部活動を変更するのは、鉄則と言ってもいい。

 「3年やって駄目なら、見込みなし」と評価するのは、厳し過ぎるかもしれない。「何事も諦めずに、続けることに価値がある」という考えもあるだろう。人生観は様々であり、3年というタイムリミットを他人に押し付けるつもりはない。

 それでもやはり、自分の経験を振り返ると、何事も3年以内に、大枠で決着が付いた。

 叶わぬ夢を追って、人生を棒に振る若者は多い。3年なら諦めて撤退できるが、5年、10年と続けると、自分にプロとして飯を食うだけの才能がなくても、諦めることが難しくなる。こうなったら、悲劇だ。

 だから、3年やって駄目なら、諦めて撤退すると決めておく。それは、生きる知恵として、さほど悪いものではないだろう。

 山田宏哉記



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2014.11.16 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ