ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3425)

 「改善」は評価に値するか

 これまで僕は、「改善」を非常に重視してきた。また、「改善」は高い評価に値すると考えてきた。

 しかし、ここに来て今、「実は、そうではない。改善は、無価値ではないが、高い評価には値しない」という思いが強くなってきている。

 最近、仕事をする上で、「改善」という言葉は、あまり使わない方が良いと気付いた。

 「改善」の実用上の意味は「低レベルなものを、多少はマシなものにする」であり、本来は、「改善」はしないに越したことはないわけだ。

 以前、何気なく「人間関係の改善」という言葉を使ったら、「えっ、何かトラブルでもあったの?」という反応を受けたことがあった。

 僕が「改善」を「より良いものにする」という意味で使ったのが迂闊だった。「改善」の真意は「駄目なものを、多少はマシにする」だと理解していなかった。

 既に合格点を超えているものに対して、更に品質を高めることは何と呼ぶか。「ブラッシュアップ」または「洗練」くらいの言い方が妥当だろう。少なくとも、合格点を超えているものに対しては、実用上、「改善」という言葉は使わない。

 退職勧奨として使用される業務改善プログラム(PIP)は、「改善」を実用上の正しい意味で使用している。

 これは「駄目な人材を多少はマシにするプログラム」だが、駄目な人が多少マシになったくらいでは、給料に見合う成果は出せず、結局、会社を追われることになる。

 「あなたの業務は、『改善』する必要がある」と言われたら、率直に言って、「合格点未達」であり、雇用も危うい状況にある。「改善」とは、駄目な人や駄目なものを指すための婉曲表現なのだ。

 改善のニュアンスは、「弱点の克服」に近い。日夜、「弱点の克服」に勤しみ、「普通の人」になることを目指す。弱みを克服しても、卓越性や競争優位には繋がらない。

 職場で次々と「改善提案」をして、自力で完遂したとしても、実は、あまり評価には値しない。

 「駄目なものを、多少マシにした」程度の実績では、積極的に高く評価することはできない。僕は勘違いをしていたし、もっと早く、このことに気付くべきだった。

 ここ数年、結構な「改善」を成し遂げてきたが、自分自身の基準に照らすと、どうにも卓越した成果とは思えず、空回りしているように感じていた。

 「改善」は、挨拶やゴミ拾いと同様、「やって当たり前」のことであり、仕事の実績には含まれない。そもそも「改善」で成果を出そうと考えていたこと自体、大きな間違いだったのだ。

 山田宏哉記



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