ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3437)

 「バカな振り」で人間関係を維持する

 波頭亮,冨山和彦(著)『プロフェッショナルコンサルティング』(東洋経済新報社)に、非常に耳の痛い言葉が含まれていた。

"[冨山氏発言]本来、インテリエリート的な潜在力を持っている人間が、この国では「自分は体育会系でバカで〜す」って言っていたほうが生きやすい。それが日本でしょう。これでは危ない。"(P69)

 このことは、僕自身も痛感している。

 僕は、現役の実務家としては、かなり本を読んでいる方だと思う。

 2014年の読書冊数305冊、2013年は180冊、2012年は295冊だった。年間数百冊の本を読むのは、18歳の頃からの習慣で、かれこれ15年ほど続けたことにある。

 その上で感じるのは、やはり、人間関係上は「バカな振り」をした方が楽だということだ。

 僕も、周囲の方に余計なプレッシャーを与えることがないよう、定期的に「本を読んでも、仕事ができるようにはならない」と公言することにしている。

 当然ながら、年間数百冊の読書を15年続けるのは、一朝一夕でできることではない。仮にこれが、仕事上の核心的な能力になっているなら、周囲の方はどう思うだろうか。

 現役の実務家が、読書冊数で僕に勝つのは正直かなり難しいので、少なくとも、あまり良い気持ちはしないだろう。

 社会人になった頃、僕はなるべく勉強していることを隠し、極力、「バカな振り」をするよう、心掛けていた。

 余暇の時間は、殆ど勉強とウェブの原稿作成に注ぎ込んでいたにもかかわらず、勤務先では、そのような素振りは見せないようにしていた。

 ストレスではあったが、職場の人間関係を維持する上では、必死で勉強していることは、黙っていた方が良かった。

 もっとも、ある程度の成果と実績を出してからは、勉強していることを隠す必要性は、あまり感じなくなった。

 企業には「成果を出したもの勝ち」のようなところがあり、成果さえ出せば、余暇に勉強をしていようと、していまいと、どちらでも構わないわけだ。

 一般社会では、必死で勉強している人より、「頭空っぽで合コン三昧」の人の方が、人望を得られることが多い。「ガリ勉はダサい」という感覚や価値観は、実社会にも色濃くある。

 TVタレントですら、「バカな振り」をした方が、人気が出る。

 学校時代、「家で真面目に勉強している」と言うと、現実には「つまらない奴」という評価が下る。ヘタをすると、イジメの対象にすらなる。多くの職場においても、これと全く同じことが言える。

 僕の読書に関する発言には、ポジショントークが含まれるが、現役の実務家であり、組織人である以上、「読書は仕事に直結する」などとは言えないので、その辺を含めて、察していただきたい。

 失望する人もいるかもしれないが、僕も一応、この程度の「空気」は読んでいる。

 山田宏哉記



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2015.1.31 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ