ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3442)

 水は低きに流れ、人は易きに流れる

 一般論として言えば、人は努力が報われなかったり、不当な評価しか受けられないと、やる気を失ってしまう。

 あるいは職場でズルをして怠けている人がいると、周囲に悪影響を及ぼす。政治家や公務員が私腹を肥やしていることも、間接的に勤労意欲を下げているかもしれない。

 世の中が不公平であるために、情熱を失って、投げやりになるのは、人間として自然な反応だろう。

 それでも、僕は敢えて言いたい。そういう人はリーダーの器ではない。

 「正直者はバカを見る」という格言は、残念ながら、その通りだろう。その通りだろうが、それでは、真面目に働くことや、正直に生きることをやめるのか。

 学校ではもちろん、会社でも普通教えてもらえないが、ここが本当の勝負所なのだ。

 僕も身に覚えがあるが、人の真価が問われるのは、「努力が報われない時」あるいは「不当な扱いを受け、冷や飯を食わされた時」だ。

 努力が報われなくても、不当な評価しか受けられなくても、何かを成し遂げるという情熱を持ち続けることができるか。

 他人や世の中が自分を正当に評価しないことを嘆くより、むしろ自分が他人や世の中を正当に評価していないことを、反省できるか。

 安易にシニカルになってはならない。世の中の方が間違っているなら、それは正さなければならない。

 「政治家や公務員が私腹を肥やしているから、勤労意欲を失う」とか「頑張って成果を出した人が、正当に評価されないからやる気を失う」などの物言いは、たとえその通りでも、言い訳だ。

 問われているのは「それでも情熱を持って、何かを成し遂げられるか」であり、結局はここで差が付くのだ。

 シニカルであることが、悪いわけではない。「不公平な世の中」や「腐った政治家や官僚」を批判し、「こんな時代では、夢や情熱は持てない」と自分を正当化する。むしろ、それが普通の人間の姿だろう。

 しかし、それは決してリーダーのあるべき姿ではない。

 水は低きに流れ、人は易きに流れる。それでも、「私は違う.。私だけは違う」と断言し、それを行動で証明できるか。

 僕も以前、努力しても結果が出なかったり、低い評価しか得られないと、やる気をなくす側の人間だった。最近は、この種の悪条件があっても、情熱を失わず、ベストを尽くせるようになった。

 昔も今も大した人間ではないが、少なくとも僕にとっては、これは飛躍的な成長だった。

 山田宏哉記



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2015.2.24 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ