ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3447)

 なぜ、同じ授業を受けても差が付くのか

 実生活でこんな趣旨の話をする機会があった。

「パーティや会合などで、上手く立ち振る舞えなかった時など、つい『反省して、次は頑張ろう』と考えがちだ。しかし、安易に『次』を持ち出しては駄目で、改善点や反省点があるなら、『今、その場で、自分を変えるべき』なのだ。」

「スポーツの試合や武術の稽古の場もそうで、人はつい安易に『後でしっかり練習して、身に付けよう』などと考えてしまう。そうではない。それは、何としてでも、『今、その場で、身に付けるべきこと』であり、決して、後で練習して身に付けることではない。」

「同じ授業を受け、同じトレーニングをする中でも、実力には差が付く。なぜか。それは、伸びる人が『何としてでも、今、その場で身に付ける』と覚悟して臨むのに対して、凡人は易きに流れ、『後でゆっくり練習して身に付けよう』などと考えるからだ。」

「反省事項や修得すべき事項を元に『今、この場で自分を変える』ことと、『家に帰ったら反省して、後日じっくり練習する』ことでは、自分にかかる負荷が全く違う。多くの人は意識せずに易きに流れるが、これは決定的な違いだ。」

「リアルタイムのフィードバックを元に即時自分を変える人と、持ち帰って反省点を洗い出し、対策を打つ人では、スピード感が全く違う。後者は『反省して、対策を打った』と勝手に満足しているが、圧倒的にスピード感が遅い。しかも、その自覚すらない。」

 道場などで武術の集団稽古をした経験がある人なら、わかると思う。今、その場でできるようにせず、「後で練習しよう」と考える人は、絶対に伸びない。

 こういう人は、才能のある後輩に、次々と追い抜かれていく。僕がまさにそうだった。

 その場で身に付かず、「後で猛練習して追いつこう」と考える人は、肝心なことを忘れている。今、その場で身に付けた人も、より完成度を高めるために、後で猛練習をするのだ。だから、後で猛練習しても、追いつけない。

 フィードバックを元に、リアルタイムで即座に自分を変えられる人と、わざわざ持ち帰って反省しないと、自分を変えられない人。これこそ、人が「素質」や「才能」と呼ぶものの正体だと僕は考えている。

 同じ授業を受けても差が付くのは、どれだけ「何としてでも、今、その場で身に付ける」という覚悟を持っているかに、個人差があるからだ。

 意欲や集中力の問題と言えばその通りだが、この意欲と集中力は、「今やるか、後でやるか」のどちらを選ぶかに現れる。つまり、誰にでも観察可能な言動から判断できるのだ。

 山田宏哉記



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2015.3.18 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ