ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3452)

 なぜ、能力に相応しい仕事ができないのか

 内心、「俺様は自分の能力に相応しい仕事をしていない」と感じている人は、結構いるのではないだろうか。

 私見では、これは当たり前のことで、むしろ「能力があれば、能力に相応しい仕事に就ける」と考える方が、ナイーブに過ぎる。

 もちろん、介護職員や建築現場の作業員など、人手不足が叫ばれる仕事であれば、能力と実績があれば、就ける可能性が高いだろう。

 しかし、競争率が高い仕事では、そういうわけにはいかない。

 素晴らしい才能を持った人でも、その能力に相応しいポジションに就くことは、必ずしも容易ではない。歴史に名を残した孔子や司馬遷であっても、社会的には不遇だった。

 政治家を考えるとわかりやすい。政治家に相応しい能力と実績がある人が、政治家になれるわけではない。政治家になるには、「選挙に勝って、選ばれる」ことが欠かせない。
選挙という仕組みでなくても、競争率の高い仕事は、似たような構造になっている。

 例えば、あなたがTVの前で、お笑い芸人のネタを見て、「俺のお笑いネタの方が面白い。俺の方がお笑いの能力がある」と感じたとする。実際、その通りかもしれない。

 しかし、TV番組のプロデューサーが評価して、出演枠を与えたのは、彼らであって、あなたではない。

 競争率の高い仕事を得るためには、「その仕事に相応しい能力と実績がある」のが、大前提だ。その上で、顔を売るなどの地道な営業活動をして、ようやく勝負の土俵に上がることができる。

 仕事の世界では、能力と実績は重要だが、決定的な要素ではない。企業で働くには、まず採用されなければならない。いくら能力と実績があっても、そもそも企業が人材を募集していなければ、普通は雇って貰えない。

 「就職活動」という言葉があるが、これは自分を売り込む営業活動そのものだ。就職して、組織で働いているとしても、競争率の高い仕事を得るためには、自分を売り込む営業活動が必要になってくる。

 やりがいのある仕事があるとして、「誰に任せるか」を判断する際、いくら能力があっても、自分の存在を知られていなければ、勝負の土俵にすらあがれない。現実には、能力に相応しい仕事ができるのは、一部の「選ばれた人」になりがちだ。

 いざという時、「選ばれる」ためには、仕事関連の飲み会やイベントなどは、やはり積極的に参加して、顔を売っておいた方が良いと、個人的には感じる。

 結論としては、能力に相応しい仕事ができないのは、むしろ当たり前のことなのだ。

 マーケットや企業は、何も僕たち一人ひとりの能力に相応しい仕事を提供するために、存在しているわけではない。但し、運が良ければ、需要と供給が一致する。

 結局は、能力に相応しい仕事をするためには、誠心誠意、能力を磨き、実績を出し続け、嫌味にならない程度に、PRや営業活動もするしかない。それでも、いくら努力しても、夢破れ、期待外れの結果になることもある。

 理不尽かもしれないが、これが仕事の厳しさでもある。だからこそ、人は「人事を尽くして天命を待つ」と言うのだ。そして経験的に言えば、それでも情熱を持って仕事をするからこそ、何とか突破口を開くことができるのだ。

 山田宏哉記



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