ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3453)

 「隣の席の会話」には、口を出すな

 実生活でこんな話をする機会があった。

 「言論で商売をしている人以外は、ウェブ上で論争するのは、避けた方が良い。そもそも、日本には、議論やディベートの文化が根付いていない。大抵の人は、意見と人格を切り分ける訓練をしていない。だから、ウェブ上での論争は、『チンピラ同士の喧嘩』になってしまう。」

 ウェブで飛び交う論争的な言葉は、「隣の席の会話」だと思った方が良い。

 例えば、飲食店にて、隣の席の見知らぬ人たちの会話が、内容的に間違っているとする。この時、「それは違いますよ!」と当人たちに忠告するか、聞き流すか。常識的には、聞き流すのが妥当だと僕は思う。

 なぜ、見知らぬ人が、隣の席で間違った内容の会話をしていても、聞き流すのが妥当なのか。

 それは、その話が自分に向けられたものではないからであり、本来は聞き耳を立てる方がおかしいのであり、当人たちに忠告するだけの関係性がないからだ。

 もし、隣の席でなされる会話内容に対して、どうしても言いたいことがあるなら、まずは挨拶と自己紹介をするのが礼儀だろう。そして、聞き耳を立てていたことを断った上で、初めて会話内容に対して、コメントをするべきだろう。

 いくら隣の席の人たちが、間違った内容の会話をしているからと言って、本人たちに向かって、いきなり「ウケケケケ、バカ発見!」などとコメントするのは、あまりに非常識で、礼を失している。大抵の人は、それくらいわかっている。

 ところが、ウェブだと、これをやらかしてしまう人が結構いる。原因は、肥大化した自己顕示欲だ。

 ウェブで論争するのは、本当に後味が悪い。そもそも、議論の土俵が整備されていないので、お互いの人格攻撃になってしまうのだ。

 本来は「あなたの意見に反対します」と「私はあなたのことが嫌いです」は全く別物だが、普通の人は、両者を混同して生きている。

 批判されることで、「自分の視野が広がった」と喜ぶインテリ層は、せいぜい人口の1%だ。普通の人は、反対されると「何だこの野郎、ふざけるな!」という反応になる。

 自分の意見に反対されると、(口に出すかは別として))「何だこの野郎、ふざけるな!」と条件反射する人が大半の社会で、「ウェブ上で論争する」のは、率直に言って、「狂気の沙汰」である。

 特に組織人は、ウェブ上で論争して、「チンピラとの喧嘩」に勝っても、得るものはない。むしろ、下手をすると、職を失うことになってしまう。

 ウェブで変なことを喚いている人がいても、それは「隣の席でチンピラが喚いている」だけのことだ。敢えて口を出すほどのことでもないし、リスク管理上は、むしろ下手に口を出してはいけないのだ。

 山田宏哉記



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