ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3460)

 消費増税下での昇給を考える

 既に私たちの生活を直撃している通り、2014年4月に消費税が5%から8%に増税された。 消費税の増税は、3%の賃下げと実質的にほぼ同じ意味であり、僕にとっても、結構、痛かった。

 僕の場合、去年の昇給と今年の昇給の合計で、何とか\10,000程度、毎月の基本給が増えた。そのため、2年がかりでようやく、増税前の購買力を取り戻すことができた。

 「ショボい」と言われれば全くその通りだが、今の僕に対する他者評価なので、本人が不満を言っても仕方がない。

 ただ、客観的に見れば、2年がかりであっても、3%の増税分以上に基本給が増えたことは、それなりに恵まれているとは認識している。

 例えば、月給¥200,000の人が、賃金を3%上げると¥206,000。一見、「たったこれだけの話」だが、今の時代、定年の延長により、総額人件費の増加が見込まれ、昇給が抑えられるようになっている(あくまで一般論です)。3%の賃上げ達成でも、結構高いハードルなのだ。

 企業にとっても、給料の原資となる粗利益の額を、3%上げることは、決して簡単なことではない。

 所得倍増計画の頃なら、たかが3%の賃上げなど、「ショボい話」であり、議論する価値もなかっただろう。だが、今は違う。GDPの成長率でも、今の日本にとって、3%の成長は至難のハードルだ。給料だけ都合良く、3%以上伸びるとは考えにくい。

 売上から変動費を引いた数値を限界利益(粗利)と呼ぶが、人件費の原資は、粗利と言える。

 まともな企業であれば、「従業員に多額のボーナスを払ったために、赤字転落」という経営は、あり得ない(株主が許さない)。そのため、粗利の確保が不十分だと、昇給や賞与の額には期待できない。

 もちろん、勤務先の企業の業績がイマイチでも、個人毎の評価次第が良ければ、昇給や賞与アップは実現できる(と思う)。

 ただ、全体のパイが拡大している企業に勤めることで、給料や賞与が上がるのと、パイが縮小している企業で自分だけ取り分を増やすのでは、かかる労力が全く違う。

 業績が右肩上がりの会社に勤めるのは「昇りエスカレーター」に乗るようなもので、業績が右肩下がりの会社に勤めるのは「下りエスカレーター」に乗るようなものだ。

 個人の成果や働きぶりが重要なのは当然だが、エスカレーターの「昇り」と「下り」の差も、無視できるものではない。

 業績が右肩上がりの「昇りエスカレーター」の企業に勤めていれば、一定の合理性を持って、年収増加も期待できる。

 「お金は重要ではない」と言うためには、一定以上、お金を稼がなければならない。

 増税分以上に、稼ぐ金額を増やさなければ、僕たちの生活は、実質的に貧しくなってしまう。

 消費税が10%になるのも、時間の問題だ。消費税は、将来的には15%〜25%まで上がるだろう。これで、年金生活者の実質的な購買力は、15%〜25%低下する。

 日本全体が「下りエスカレーター」のようなものなので、現役世代も、「カネを稼ぐ力」を強化して収入を増やさないと、どんどん貧しくなってしまうのだ。

 山田宏哉記



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2015.6.20 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ