ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3483)

 ホワイトカラーの事務職は"理想の職業"か 

 どうにも、世の中には「ホワイトカラーの事務職が理想の職業である」という暗黙の了解があるように感じている。しかし、それは違うのではないか。

 冨山和彦(著)『選択と捨象』(朝日新聞出版)を読んでいて、この問題意識が明確になった。

 "大企業の総合職ホワイトカラーのサラリーマンが職業のトップである、という暗黙のヒエラルキー構造を改めなければならない。誰も口に出さないが、いまだに日本人は「士農工商」のイメージを引きずっている。"(前掲書P250)

 "東京の事務的職業の有効求人倍率は0.35倍(2014年10月時点)である。この国からは「何となく東京に出てサラリーマンになる」という選択肢は確実に消えつつある。"(前掲書P247)

 東京では「ホワイトカラーの事務職」が「人員過剰」になっている一方、現業系の現場で「人手不足」になっている。他人に説教する資格は皆無なのだが、なぜ、人々は「ホワイトカラーの事務職」に就きたがり、現業系の職業を敬遠するのだろうか。

 ホワイトカラーの事務職を希望する人の中には、本音レベルでは、「エアコンの効いたオフィスで、適当に仕事をしているフリをして、楽して給料を貰いたい」という動機の人も結構いると思う。私見では、こういう人には、決してホワイトカラーの事務職をやらせてはならない。

 「お前が言うな」の話で恐縮だが、ホワイトカラーの事務職として、成果を出すのは、決して容易ではない。また、ホワイトカラーの仕事は、努力が報われるとは限らない。マクロの視点で見れば、首都圏では、もっと「現業系への人員移動」が必要だと思う。

 思うに「努力は報われる(べきだ)」という価値観の人は、ホワイトカラーよりも、現業系の職種の方が向いているような気はする。

 なぜなら、現業系は成果がタンジブル(見て触ることができる)だから。ホワイトカラーと比較すれば、他人の2倍働くことで、2倍の成果を出しやすい。

 例えば、トラックドライバーが荷物を配達する。その成果は、誰の目にも明らかだ。一方、ホワイトカラーの事務職が、一生懸命、経営分析をしたとする。この成果は、必ずしも、自明ではない。分析結果が正しく、実現可能なら成果と言えるが、そうでなければゴミ同然だ。

 ホワイトカラーの事務職は、結果を出して初めて、評価に値するのであり、必ずしも「頑張った人が報われる」とは限らない。

 日本人のメンタリティである「汗水垂らして、一生懸命働く人が報われるべきだ」という価値観を体現するのは、ホワイトカラーの事務職ではなく、現業系の職種だと思う。

 現業系の仕事であれば、やる気を持って、一生懸命仕事に打ち込めば、よほどのことがない限り、「見込みのある奴だ」とか「よく頑張っている」など、肯定的な評価をもらえると思う。

 一方、ホワイトカラーの事務職においては、こういう情緒的評価は期待できないし、また期待すべきでもない。

 マクロに見れば、おそらく日本においてはホワイトカラー事務職の余剰人員を、介護や観光、輸送や物流などの現業職にシフトするのが望ましい。

 そのための抜本改革案としては、ホワイトカラーの事務職は"純然たる成果主義"とし、現業系は「一生懸命努力する人、頑張る人が報われる処遇」にするのが良いと思う。

 山田宏哉記



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2015.11.15  記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ