ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3484)

 「俺様は正しい」と勘違いしている人

 川上量生(著)『ニコニコ哲学』(日経BP社)に、思わず「なるほど!」と納得する記述があったので、紹介したい。

"オタクの特徴ってね、自分が正しいと思っていることなんですよ。ネトウヨとか、ネットでケンカしている人はだいたいそうですよね。"

"オタクはコミュニケーション能力が低くて、社会に居場所がなかったから、自分で自分を褒めるしかないんですよ。他人に認められないから、自分で認めてあげるしかない。"

"2ちゃんねるのスレとか見てると、オタクって浮気に厳しいじゃないですか。「俺が彼氏だったら浮気なんかしないで、すごく大事にしてやるのに」って思い続けているわけです。それはなぜかというと、まだ彼女がいないからです。"

"彼女ができたら大切にするんだ、自分はそういう人間なんだ、と思い込むことで、自尊心を高めている。でもこれって、一度も試されてない正義なんですよね。"(前掲書P239〜P240)

 オタクの特徴として、「自分が正しいと思っている」ことが挙げられているが、「自分の思考や言動を無条件に正しいと思うか」は、コミュニケーション能力の肝だと思う。

 他者と対話をしても、自分の思考や言動を一切変えない人は、コミュニケーション能力が低い。

 議論に勝った気になっているのは本人だけで、残念ながら、低収入が確定し、異性からも相手にされないと思う。

 それではなぜ、あの人たちは、SNSで熱心に論争しているのか。その理由は「俺様の頭の良さを誇示したい」という自己顕示欲だったり、「イケてる自分を演出したい」という虚栄心だったり、「誰かに構ってもらいたい」という承認欲求だったりする。いずれにせよ、「動機が不純」なのだ。

 補足するなら、ウェブの普及で「自己演出のコスト」が劇的に下がったのは、見逃せないポイントだと思う。例えば、実生活で「セレブ」を演出するのはとても大変だが、SNSへの投稿で、「セレブ感」を演出するのは、相対的にコストがかからない。

 「頭の良さ」をアピールするにも(個人的には自慢にならないと思うが)、ネットで「自己演出」するのは有効な方法だ。実生活で対話をすれば、相手の実力はだいたいわかるものだ。

 しかし、SNSであれば、プラトンでも引用して投稿しておけば、とりあえずバカとは思われないだろう。

 個人的には、論争や交渉をするべきタイミングは、「当事者として、利害を調整する局面」に限定した方が良いと思う。仕事で提案を通そうとする時とか、分配比率を決める時などに。

 SNSで、自分の利害に直結しないテーマで論争するのは、そもそも「場違い」なことが多い。

 毎度言っている話ではあるが、自分の本音は自覚した方が良いし、「自分は無条件に正しい」とか、「自分を大きく見せよう」なんてことは、あまり考えない方が良い。結論としては、ごく常識的な話なのでした。

 山田宏哉記



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2015.11.16  記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ