ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3495)

 汚名返上のリアリズム 

 転職業者が盛んに広告を出すこの季節、左遷や追い出し部屋への異動などで、内心、落ち込んでいる人もいると思う。

 組織の中で、一旦、「ダメな奴」「使えない」「リストラ候補」などの烙印を押された人が、汚名を返上するためには、一体、どれだけの努力と忍耐、時間が必要か。僕は「必死に頑張って、屈辱にも耐えて、3年」という仮説を立てている。

 まず、「汚名返上は非常に難しい。苦難と屈辱に満ちた、茨の道である」という点を、肝に命じる必要がある。

 良い悪いは別として、現実問題、人間に対する評価や印象は、そう簡単には変わらない。それがネガティヴなものであれば、尚更だ。犯罪者が罪を償っても、社会復帰が難しいのと同じだ。

 実際、組織の中で、低評価が固定してしまった人は、「給料泥棒という名の犯罪者」なのだ。だから、汚名返上は「犯罪者の社会復帰」に近いものがある。元犯罪者は、たとえ立派に生きていても、善良な市民から、数々の罵声を浴び、差別的な扱いを受ける。この覚悟は必要だ。

 実際、少なからぬ人は、転職で人間関係をシャッフルする方を選ぶ。ただ、僕みたいに英語ができないノースキルの文系で、転職できないとなると、汚名返上の道しかない。

 では、具体的にどうするか。

 まずは、「自分は無能な負け犬である。キャリアも棒に振ってしまった。一生、他人にこき使われる立場である」という現実を直視し、泣き喚いて、悔しがる必要がある。

 「そこまでしなくても」と思うかもしれないが、ここで素直に負けを認めないと、残念ながら、本当に一生、負け犬のままだ。ここは職業人生の帰路なのだ。

 元犯罪者は、人並みに働いて、人並みに成果を出していても、一朝一夕に、仲間からの評価が上がると期待してはいけない。短期的には、どんなに頑張って、どんなに成果を出しても、評価は低いままだろう。それでも、気を落とさず、仕事に全力投球する必要がある。

 誰より努力して働いても、低い評価しか得られないことが、どれだけ辛く、意欲を毀損するか。僕は身をもって、知っているつもりだ。それでもなお、誰より勤勉に、自分の為すべきことを為し、成果を出すことに集中する。

 これを3年間続ければ、普通、低評価から脱却できる。

 「石の上にも3年」とはよくぞ言ったもので、何か価値あるものを身に付けるためには、3年の歳月が必要だ。同様に、他者からの低い評価を覆すのにも、やはり3年程度の歳月は、どうしてもかかる。この「3年間の忍耐」に耐えられるかどうかが勝負だ(普通は、心が折れてしまう)。

 大変僭越ながら、仕事で「敗北」を喫して、実質的に「戦力外通告」を受けた方に、僕から応援の言葉をかけるとすれば、「素直に敗北を認め、今から3年間、誰よりも勤勉に働けば、低評価の汚名は返上できる」と言いたい。

 山田宏哉記



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2016.3.21 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ