ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3496)

 ローパフォーマーの無気力は「演技」である 

 元気一杯で入社してきた新人が、いつの間にか、無気力な「ローパフォーマー」になり、会社から「早く辞めて欲しい」と思われるようになる。この構造は、本当に不可解だ。

 本来ならば、経験の蓄積と共に、パフォーマンスが高まるはずなのだ。なぜ、こんなことになってしまうのか。

 そのヒントは、草食系男子にある。

 勝手に"草食系"の気持ちを代弁すると、彼らは単に「強く望んで、必死に努力したけど、手が届かなかった」という思いを、したくないだけだ。自尊心が傷付くから。それなら、最初から欲しがらない方が、傷が浅くて済む。

 無気力でやる気がないフリをするのは、あくまで自尊心を守るための「予防線」だ。人間の欲望そのものは、昔からさして変わっていない。

 同様に、ローパフォーマーが「無気力」に見えるのは、半分以上は「演技」だ。

 要するに、彼らはプライドが高い。全力で仕事に打ち込んでも、職場で低い評価しか得られないことに、耐えられない。そのため、「やる気がないのだから、評価が低くて当たり前」という形にしてしまう。

 予防線なんか張るなよ。素直に悔しがれ。

 必死に頑張ったのに、望んでいたものに手が届かない。そういうのはよくあることだし、中長期的に見れば、人生において、糧になることだ。自戒の念を込めてだが、カッコ悪い思いをしたくないから、最初から欲しがらないフリをするのは、成長の妨げになる。

 職場での評価が低かったら、それは正当に悔しがるべきことだ。自分のパフォーマンスの至らぬ点を改善し、次につなげる必要がある。もちろん、評価されるのが目的になるようでは、本末転倒だ。

 他の誰よりも努力して、他の誰よりも熱心に仕事に打ち込んだ結果、他の誰よりも評価が低い。確かに、これは辛い。鼻っ柱を折られ、プライドは深く傷付く。「自分は無能なのだ、劣った人材なのだ」という現実を、嫌でも突き付けられる。しかし、この現実を受け入れずして、挽回の道はない。

 例えば、サッカーにおいて、ライバルがエースストライカーに選ばれて、自分が選ばれなかったなら、それは素直に悔しがるべきだし、真摯に敗北を認め、反省すべきだ。そして、悔しさをバネに、他の誰よりも、研鑽を重ねるべきだ。サッカーが好きなら、簡単にあきらめるなよ。

 正当に悔しがるためには、「『負け』を認める力」が欠かせない。サッカー部でレギュラーに選ばれなかったら、それは「負けた」ということだ。「俺は本気を出してないだけ」とか「そもそも、レギュラーを目指していない」と言い訳するのは自由だが、そういう人は成長の機会を失っている。

 一生懸命、努力しても、成果に手が届かず、低い評価しか得られなかった。これは、「職業人生の岐路」となる場面だ。素直に悔しがって反省するか、誰かのせいにしたり、無気力になったりして、自分のプライドを守ることを優先するか。多くの人は、後者を選んでしまう。

 成果を出せず、低い評価を受けた時、素直に自分の「敗北」を認め、悔しがることは、決定的に重要だ。

 これはまさに、職業人生の岐路であり、これができるかどうかで、職場に残れるか、失意のうちに去るかに分かれる。だから、僕は仲間に、この場面で、余計なプライドを持って欲しくない。

 山田宏哉記



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2016.3.21 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ