ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3497)

 自分の仕事に対する誇り 

 今北純一(著)『とどめの一言』を読んでいて、ハッとさせられる記述があった。

 "[フランスでは]少なからぬ数の役所の窓口スタッフが、「すべての邪魔をする」かのように無慈悲で意地の悪いことをするのは、必ずしも彼らの性格が悪いからなのではない。自分の仕事に対する誇りを持っていないからだ。だから「自分はつまらない仕事をしている」という潜在的な不平不満を、役所に頼らざるを得ない人たちにぶつけて八つ当たりをするのである。"(P205)

 実社会で働いていれば、様々な人の、様々な不平不満を見聞きする機会がある。中には、他人に対して嫉妬をしたり、八つ当たりをしたりする人もいる。

 その根本にあるものは、何なのか。多くの場合、「自分はつまらない仕事をしている」という不平不満ではないだろうか。

 よくよく観察すると、失礼な態度を取る人にも、相応の理由や言い分があることが多い。それが客観的に認められるものかどうかは別だが、少なくとも本人にとっては、とても重要なわけだ。

 だから僕は、失礼な態度を取られても、あまり怒らない。僕にとっては、「どちらが価値ある仕事をしているか」を思い出すだけで、大抵、充分だからだ。

 自分より価値ある仕事をしている人に侮られたなら、逆転するべく奮起する。そうでなければ、「あぁ、この人は、今の自分の仕事が不満で、八つ当たりしているのか」と理解する。

 更に吟味すれば、仕事において、他人の仕事の重箱の隅をつついたり、手続き上の不備を声高に言い立てたりする人は、残念ながら、あまり価値ある成果を出していないことが多い。

 おそらく、重箱の隅をつついている本人も、それを半ば自覚しているのだろう。「自分はつまらない仕事をしている」という不遇感があるから、他人に八つ当たりをしてしまう。そう考えると、納得できることは多い。

 直接的に言わなくても、「誰にでもできる、簡単な仕事」とか「あなたの代わりは、いくらでもいる」という暗黙のメッセージが発せられている職場では、「自分の仕事に対する誇り」を持つことは難しい。

 「仕事そのものがつまらない」と感じている従業員に関して、個人的な見解を言わせてもらうと、職場で飲み会を開いたり、会社でイベントをしたりしても、直接的な効果はない。

 仕事そのものに対する不満は、仕事そのものでしか、解決しない。必要なのはあくまで、彼らが「自分の仕事に対する誇り」を持つことなのだ。

 山田宏哉記



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