ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3502)

 アンラーニングと思考の余白  

 新しい環境に身を置く時、最も大切なことは何か。

 「郷に入りては、郷に従え」というか、それまでの知識や経験を一旦リセットして、新参者として謙虚に学ぶ姿勢が最も大切だ。聞いてないのに「前の会社ではこうだった」みたいな話をする人は、ほぼ例外なく嫌われてしまう。

 何かを新たに学習するためには、学習前に、一旦、それまでの知識や経験を「忘れる」ことが欠かせない。自分の頭を「乾いたスポンジ」にして、思考に余白部分を作らないと、新しいことを学習する効率が落ちてしまう。

 成果を出せない人は、知らず知らずのうち、悪い習慣を身に付けていることが多い。

 会議のための会議をやったり、言い訳のために資料を作ったり、パワポの紙芝居作りに熱中したり。この手の「成果を出せない習慣」は棄却して、時間と思考に「余白」を作る必要がある。

 軍隊のブートキャンプ(新兵訓練)で、教官が「これまでお前たちが教わってきたことは、全部間違いだ!」と否定するのも、アンラーニングの一種と言える(これは、カルト教団やブラック企業の「洗脳」に使われる手法なので、ここは迂闊に手を出す領域ではないが)。

 具体的な行動に落とし込んで言うなら、日常のちょっとした習慣が大切だ。

 仕事における、作業のひとつひとつは、「とっとと片付ける」ことが大切だ。これが「余白」を生む。「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」という状態だと、思考の大半をToDoリストが占めてしまって、考えることで価値を発揮するのが、難しくなってしまう。

 また、「書く」という行為は、言い換えれば「思考の外部記憶化」だ。だから、言語化して、ウェブに公開した知識やノウハウは、自分の頭で覚えている必要がない。書いたことは忘れてもいいので、書くという行為は、思考の余白を広げることにつながる。

 部屋を快適に保つためにも、「ゴミを捨てる」というプロセスが欠かせない。学習にも同じことが言えて、不要になった知識や常識は捨てる必要がある。

 一般に、素直な若手社員が好まれるのも、余計な知識や常識を持っておらず、学習効率が高いからと言える。

 「煮詰まってきたな」と感じたら、とにかくアウトプットを出して、「余白」をつくる。さほど難しく考えなくても、おそらく、本能的にやっている人が多いのではないだろうか。

 山田宏哉記



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2016.4.29 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ