ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3505)

 なぜ、あの人は「蚊帳の外」に置かれるのか  

 「蚊帳の外」という言葉がある。仕事であれ、プライベートであれ、「蚊帳の外」に置かれる人は存在する。

 では、一体、誰に声がかかり、誰が「蚊帳の外」に置かれるのか。その選別プロセスを少し掘り下げて考えたい。

 実は、森川亮(著)『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)に、そのものズバリの記述がある。

 "考えてみれば、僕たちは日々周囲の人々に評価されています。頼りになると思われていれば、あれこれ声もかかるし、相談ももちかけられます。逆に、誰からも声がかからなければ、評価されていないということです。"(P104)

 合理的に考えれば、声がかかる人は「その人が存在することで、価値が高まる」と期待されている。

 一方、「蚊帳の外」に置かれる人は、「いなくてもいい」「むしろ、いない方がいい」と厳しい評価をされている。要は、そういうことだ。

 自分に声がかかれば、存在を知ることができる。しかし、自分が「蚊帳の外」に置かれた場合、存在そのものがわからない(例えば、自社の発表を新聞を知った場合などは、後から存在を知ることができるが)。

 多くの会社員が、自分に対する客観的評価に不満を抱くのは、そもそも、自分が「蚊帳の外」に置かれていることを、自覚していないからだと思う。

 本当に価値ある仕事と成果は、大抵、僕たちのあずかり知らぬところで、生み出されている。しかし、その構造にすら、気付けない。

 ビジネスにおけるチャンスは平等ではない。評判が悪く、「蚊帳の外」に置かれた人には、そもそもチャンスの局面で、声がかからない。そういう人が、「俺様はこんなに頑張った」と自己評価しても、大抵、客観的には低い評価しか得られない。

 仕事は作業を開始する前に、大方の勝負が決まっているように感じる。企画や意思決定の段階から関われるか、単なる作業者やバグの修正要員としてアサインされるか。あるいは、全く蚊帳の外で、公式発表で、その仕事が完了したことを知るか。

 仕事は、そもそも獲得できるかどうかが、勝負だ。

 全力で仕事をして、圧倒的な成果を出したと自分では感じても、客観的な評価が低ければ、それは客観的な評価の方が正しいのだ。納得できないとすれば、それは「蚊帳の外」に置かれたことを、自覚していないからだ。

 僕も厳しいことを言うが、戦力外の人ほど、余計なプライドが高くて、トラブルを起こすものだ。成果を出すことに集中する人にとって、積極的に戦力外の人と関わるメリットはない。

 蚊帳の外に置かれた人が、現状から脱却するには、まず自分の無能さを素直に認め、自分が戦力外のローパフォーマーだと、率直に認めることが大切だ。

 "老害経営陣"や"硬直した人事制度"のせいにして、「俺様は社畜じゃないから」と言う自由はあるが、それでは遅かれ早かれ、職を失うだろう。

 蚊帳の外に置かれた人は、これまでの自分の所業とローパフォーマンス、そして自分が「仕事ができない人」であることを、深く、本気で恥じる必要があるのだ。

 山田宏哉記



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2016.4.29 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ